2011年3月3日木曜日

花見川中流紀行 14活断層存在の可能性1

「大日本地名辞書 坂東」の柏井の項
 以前の記事(花見川中流紀行5花見川の語源2)で吉田東伍「大日本地名辞書 坂東」(明治40年、冨山房の影印本)を入手したことを報告しました。
 この「大日本地名辞書」から谷川健一(地名学者)が多くの示唆をうけたことをいくつかの本で読んでいたので、私も期待して花見川流域の地名を読みました。
 柏井の項目を読みだしたら、「地学雑誌云、花島村の・・・」で始まる文章に、安政2年大地震で柏井村に大地開裂があり、断層の存在を推測できるとの内容が書いてあるのを見つけました。上の画像がそれです。期待したことが、すぐにかなえられて自分でも唖然としました。
 記述の内容は、私にとって2重の意味で驚きでした。

 1つ目の驚きは、もし大地開裂が事実なら、花見川が地質上の構造線上にある可能性が濃厚になり、河川争奪や化灯土存在の新たな説明が想像の域から科学的解明の端緒が開かれる方向に変化するからです。社会として河川争奪や化灯土存在の新たな解明機運が生まれるという意味で、少し興奮します。趣味の散歩と思っていた活動からアカデミックに影響するような種が生まれるかもしれません。

 2つ目の驚きは、もし大地開裂が事実なら、安政2年大地震の新たなデータ発見になるのではないだろうかということです。安政大地震は首都圏直下型の地震でもう150年起こっていません。現在の首都圏の地震防災を考える上でこれまで見過ごしてきた貴重な情報を発見したことになるかもしれません。花見川に活断層は想定されていないので、もし活断層が考えられれば、防災対策の根本見直しになるかもしれません。

 地学雑誌は東京地学協会が発行する、わが国で最も伝統のある地学系学術雑誌です。ぜひとも原文を入手して、この辞書に書いてあることが本当であるか確かめたくなりました。
原文を見れば、現代の人々が見過ごしてきた貴重な情報か、あるいはそうでもないのか、ある程度分かるのではないかと思いました。

 東京地学協会のホームページに入ると、地学雑誌のバックナンバーは明治22年創刊以来、全て復刻CD-ROMとして頒布していることを知りました。またホームページで論文検索することが出来ます。そこで、断層や柏井などいくつかの言葉で検索すると、地学雑誌4巻3号(明治25年)に巨智部忠承「印旛沼堀割線路中断層の存在」という論文を見つけることが出来ました。早速復刻CD-ROMナンバー1(明治22年~33年分 3150円)を購入申し込みをしました。そして昨日到着しました。
 貴重な学術雑誌の復刻版をこのような廉価で一般に頒布している東京地学協会に感謝します。

 到着したCD-ROMをパソコンにいれて当該論文を読んでみました。そうすると・・・(つづく)

0 件のコメント:

コメントを投稿