2011年5月21日土曜日

河川と谷津をルートとする高圧送電線「花見川線」

宇那谷川流域紀行4 河川と谷津をルートとする高圧送電線「花見川線」

            宇那谷川谷津を通る高圧送電線「花見川線」

 宇那谷川が小深川と合流する手前約500mは谷津の左岸側が盛土されて谷底が狭まっています。また、その理由が私には明解に理解できませんが、宇那谷川が蓋架けされて地下水路となり、表面は草地となっています。上流側が行き止まりとなるために散歩用空間としても使い勝手が悪く、人が立ち入っている光景を見ません。
この区間は風景的に高圧送電線の専用敷地のように見えます。

 この高圧送電線「花見川線」は花見川左岸から犢橋川谷津を通り、この宇那谷川谷津に入り、さらに勝田川谷津から勝田川の佐倉市上志津原の谷津を通って下志津原方面に抜けます。河川と谷津を選択的に通るルートです。

            高圧送電線「花見川線」ルート
 赤太線が「花見川線」、オレンジ線は他の高圧送電線、赤点は変電所。

            送電線鉄塔を真下から見る

            「花見川線」の標識

            犢橋川谷津の「花見川線」

            犢橋川谷津の花見川合流部低湿地の「花見川線」鉄塔基礎

 この写真は3月23日に花見川の震災状況を見に行った時の写真です。もちろん頑丈なコンクリート基礎と鉄塔はびくともしていませんでした。この鉄塔から50m離れた花見川の護岸は被災してコンクリートブロックはバラバラになり、管理用道路にも段差がついていました。化灯の沖積地にある護岸は被災しているのに、そのすぐそばで、送電線鉄塔が地震でびくともしないことに、私はあらためて感心しました。当然といえば当然ですが、社会資本としての頑丈さを備えていることに一種安心しました。

 震災前2月22日に東電に電話ヒアリングして、このルートがこの付近の送電線で最初に出来たこと、高圧送電線でも日本最大50万ボルト送電線で千葉から東京に電気を運ぶ幹線であることなどを教えてもらいました。
 花見川流域の高圧送電線網をマップ化して、以前記事(花見川中流紀行8河川景観と送電線鉄塔)にしましたが、3月11日の東日本大震災以後計画停電などで送電線網に対する社会的関心が高まり、一時この記事の閲覧が増えました。

 私自身も震災を契機にして、変電所の位置や高圧送電線網の配置や機能に興味を一層深く持つようになりました。特に原発災害に関連して東電の発電部門と送電部門分離議論がマスコミをにぎわしていますが、こうした議論を聞くと、否が応でもう送電線網の社会インフラとしての重要性に気がつき、その実態をもっと理解したくなります。

 なお、2月22日に東電に電話ヒアリングした時、私の問い合わせ(花見川流域の送電網について詳しい情報を知りたい)に対して東電サイドの対応スタンスは次の通りでした。
1 送電線網情報は公開していないので教えられない。WEBで情報発信していない。パンフレットなどもない。窓口もない。
2 お客さん(私)は家庭電源の契約者であるので、発電所から家庭まで電気が送られる送電の一般的仕組みについては技術者が電話なら教えることは出来る。
(これでは結局何も教えてもらえないので、花見川流域について、25000分の1地形図から送電線網と変電所をプロットして、そのマップを手元において東電技術部門の方に電話する。)
3 (私のマップによるルートについて)送電電圧や機能の概略について教えていただいた。
電話に出ていただいた方の対応は丁寧でしたが、会社のスタンスは送電線網については一般には一切公表しないというものでした。

 東電が情報提供を渋る理由は、テロリストに送電線網情報を渡したくないということのようです。しかし、一般国民に送電線網の基本的情報や機能を教えないという方針は時代錯誤のように感じられます。
 送電線網は国民の生活を支える重要な社会資本ですから、その存在・維持管理や設置に対して国民の協力を得ることが必要です。そのためには送電線網の実態や機能を国民に理解(学習)してもらうことが大切です。今回の原発災害や電力不足を契機に、東電が送電線網を私物でなく公共財として扱うようになり、その情報を国民に知らせるようになることを願います。

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