2011年10月1日土曜日

花見川河川争奪に関するoryzasanさんからのコメント

花見川河川争奪を知る1 oryzasanさんからのコメント

「お知らせ」で書いたようにoryzasanさんから2011年1月28日記事「花見川流域紀行10河川争奪の見立て」にコメントをいただきました。
この記事がブログの奥深いところにあり、目立ちにくいので、改めてこのコメントを記事として掲載させていただき、紹介いたします。

そして、oryzasanさんにコメントしていただいたことをきっかけにして、改めて花見川河川争奪について考えてみて、シリーズ記事として情報発信したいと思います。

1 2011年1月28日記事「花見川流域紀行10河川争奪の見立て」(再掲)
河川争奪前の水系想像
河川争奪後の水系
もともと花見川団地付近を源流とする水系(柏井の谷津)、花島公園の谷津を源流とする水系、柏井浄水場付近を源流とする水系の3つが柏井橋付近で合流して印旛沼方向に流れる水系があったと考えます。この河川を仮に古柏井川と呼ぶことにします。一方、東京湾方向に流れていた古花見川の最上流部の頭部侵食力が旺盛になり(おそらく海面低下や低温化に起因)、花島公園の谷津はおろか、二つの支流をも争奪し、さらに横戸台南端(「高台」と呼ばれる場所)付近まで古柏井川谷底を奪ったのだと思います。結果として、古柏井川は流域面積のほとんどを取られ、そこに流れる水の量と較べると著しく大きな空堀みたいな広い谷が下流の一部に残ったのだと思います。
後世になり、人々が印旛沼干拓を課題とした時、願ってもいない大きな空堀みたいな谷があり、それは「高台」で突然花見川によって下からちょん切られている光景をみて、堀割普請の意欲が大いに湧いたのだと思います。
堀割普請で難渋した化灯土も、こうした地形発達を想定すると、その成因や分布が合理的に説明できそうです。
河川争奪箇所だったから堀割普請が行われたという仮説については、現場をくまなく散歩してみたり、情報を集めて分析し、今後検証していきたいと思います。

2 oryzasanさんからのコメント
花見川上流部の河川争奪に関する文章を読ませていただきました。「古柏井川」の流域を「古花見川」の頭部侵食で奪った結果が現在の花見川の水系であるとのことですが、僕は違う見方をしています。
この地域には関東ローム層の下部に「常総粘土層」という火山灰層が分布しますが、この地層は「古東京湾」と呼ばれる海が退いた後に生じた湿地に堆積したものです。花見川流域でのこの地層の層相分布を見ると、下流の天戸-長作地域には同時期の陸成の火山灰層(下末吉ローム層)が分布しますが、上流の花島-横戸では湿地堆積の層相を示し、天戸-長作地域の陸化・離水の時期が早かったことを示しています。もちろん現在では花島-横戸地域の方が高いのですが、古東京湾の海退直後は逆だったことになり、その後花島-横戸地域の隆起が始まって現在の分水嶺が形成されたのではないかと思います。柏井の谷津を作った川は、この海退直後の地面の傾きに従って、印旛沼に向かう流路を形成した後、分水嶺地域の隆起の開始によって行く手を阻まれて東へ曲がり、更に南へと流れて、現在の花見川の流路を作ったのではないでしょうか。このような最初の離水域を示す、陸成の下末吉ローム層の分布域は、分水嶺地域の東京湾側に平行に、松戸付近まで追跡することが出来、隆起軸の内陸側への移動を示しています。
詳細は下記
http://homepage3.nifty.com/sayamanaturalhistory/geology/shicchinojidai/shimosueyoshi/page-rikukatochikakuhendou.html

3 花見川河川争奪に関する興味
oryzasanさんのコメントをきっかけにして、次のインタレストについてシリーズ記事を作成して情報発信したいと思います。

ア 花見川河川争奪地形の復元
・江戸時代の印旛沼堀割普請の影響を除去して、自然地形としての花見川河川争奪地形を復元する方法とその結果について考える。

イ 花見川河川争奪の成因
・oryzasanさんの調査結果や他の既存文献、私の見立て・調査を並べてみて、花見川河川争奪の地学的成因を考える。

ウ 縄文人以来の花見川河川争奪地形の利用
・縄文時代以降の人による花見川河川争奪地形利用の歴史をまとめてみる。(印旛沼と東京湾の古代における交流、霊的空間の立地、印旛沼堀割普請、印旛沼開発事業等)

エ 花見川河川争奪地形の価値
・花見川河川争奪地形そのものと、それを利用した土木遺構等の文化財的価値について検討する。

オ 花見川河川争奪を知る意義
・河川争奪が、花見川の自然地理的出自(成り立ち)の理解や、これからの花見川流域の保全と開発の思考の基礎知識として必須であることについて考える。

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