2012年3月5日月曜日

湖沼堆積物データの発見

古長沼の復元 その2

古長沼の湖沼堆積物の存在を示すと考えられるボーリングデータを見つけましたので報告します。
千葉県地質環境インフォメーションバンクを検索したところ、千葉県立千葉北高校敷地内に8本のボーリングデータがありました。

次にそのデータと位置を示します。

ボーリングデータ

ボーリング位置図
千葉県地質環境インフォメーションバンク検索画面

ボーリング位置図
0.5m間隔地形段彩図プロット(GIS上でジオリファレンス)

ボーリングデータのうち1~7地点は類似した層順になっています。
下から(凝灰質)細砂層、凝灰質粘土層、ローム層、表土になっていて、台地(下総上位面)の一般的な地層堆積状況を示しているものと考えられます。

ところがボーリングデータ8地点は7地点と50mしか離れていないにもかかわらず全くことなった層順になっています。
下から(凝灰質)細砂層、ローム層、粘土層、細砂層、ローム層、表土になっています。

私はボーリンデータ8地点を7地点と対比して次のように解釈しました。

ボーリングデータ8地点も、7地点と同じく(凝灰質)細砂層の上に凝灰質粘土層の堆積があったと考えます。
木下層の上に常総粘土層が堆積したものであると考えます。
凝灰質粘土層(常総粘土層)の堆積後陸化があり下総上位面の台地が形成されました。
その後、ボーリングデータ8地点では谷津形成により凝灰質粘土層が浸食され欠落したと考えます。
そして、8地点は谷津斜面近くであったため、その後降灰した火山灰が流水で流されることなくローム層として堆積したと考えます。
その後、谷津が湖沼化し止水環境下になり、8地点ではローム層の上に粘土層が堆積しました。

ある時点で8地点に流水環境が生まれ、「分級良好で浮石を縞状にはさむ」細砂層が堆積しました。
湖沼の一部が決壊し、水が抜けていく時に生まれた流水環境であると考えられます。
水が抜けて湖沼で無くなった8地点には火山灰が堆積し、ローム層30㎝、表土・ローム層20㎝が堆積しました。

湖沼堆積物を示すボーリンデータ

このボーリングデータの存在から、次のような様々な事柄を考えるきっかけを得ることができます。

1 ボーリングデータ8地点の谷津素性
・古長沼とはどこでつながっていたか。
・宇那谷2谷津の上流部であるのか。
2 湖沼化していた谷津の範囲
3 なぜ流水環境が生まれたか
・湖沼が決壊した場所は。
・流水はどちらの方向に流れたのか。(古長沼に流れ込んだのか、反対に古長沼から流れ出したのか?)
4 湖沼堆積物と考えた細砂の供給源は?
(細砂堆積高度は22.7m~24.9mですが、この附近の細砂供給源である木下層の堆積高度上限は18m程度です。)
5 この地点で湖沼が発生し、終焉した時代は?

突然の湖沼発生とその大決壊があったことなど、1つのボーリングデータからダイナミックな発想が展開する予感がします。

順次検討します。

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