2012年5月9日水曜日

花見川谷中分水界付近の地形

花見川付近の地形面の対比 その1

(双子塚古墳の記事連載前に話題にしていた、谷中分水界付近の地形検討に戻り、記事を連載します。)

1 谷中分水界付近の地形(これまでに判ったこと)
勝田川に分布する千葉第1段丘(河岸段丘、武蔵野面)が現在の花見川に沿って南側に連続的に分布し、花見川区横戸台付近(対岸は柏井高校付近)まで上流方向に追跡できました。
この河岸段丘を作った河川を古柏井川と名付けました。
印旛沼堀割普請前は、東京湾水系花見川の源頭部が同じく花見川区横戸台付近にあり、そこが東京湾側と印旛沼側の分水界となっていました。
古柏井川の谷を反対側から花見川が浸食しているため、谷の中に分水界が存在することになりましたので、このような地形を谷中分水界(こくちゅうぶんすいかい)といいます。

谷中分水界の地形を2012.4.27記事「印旛沼堀割普請前の花見川と古柏井川の谷中分水界」でまとめていますので、次に再掲します。

地形縦断線位置図
地形縦断線A-Bは印旛沼堀割普請の捨土の土手を避けた台地西岸の地形縦断線です。
地形縦断線C-Dは現在の花見川河道中心線付近の地形縦断線です。
地形縦断線E-Fは台地の一般面が表現されるように設定した地形縦断線です。(新規追加)

印旛沼堀割普請前の花見川源頭部付近谷底縦断イメージ
(この図には縦断E-Fは表現されていません。)

2 地形面の新たな見立て
5mメッシュをカシミール3Dで運用することにより、高さの最小単位は1mですが、任意の位置の地形断面を1クリックで作成できるようになり、それまでのDMデータを用いた「レトロな方法」による断面図作成と比べて作図精度が飛躍的に向上しました。
その結果、これまでできなかった高度面での正確な上下関係の対比比較が可能となりました。

上記の地形縦断面図に地形縦断E-Fを加え、台地の一般面の縦断も加えて表現されるような地形縦断投影図を作成しました。
そして、その図に、現在までに得られた情報と既往資料を参考にして、地形面分類を新たに見立て、それを記入してみました。

地形縦断投影図

新たに見立てた事柄を記録しておきます。
ア 下総上位面を刻む浅い谷の存在
地形面の見立ての結果は、下総上位面、下総下位面を確認するとともに、下総下位面の高さに下総上位面を削る浅い谷を確認することができました。
下総下位面(海成段丘)を形成していた海に流れ込む川の谷であったように考えます。
この浅い谷が古柏井川の前身であると考えます。

この浅い谷で縄文遺跡(宮附遺跡)が発見されていて、地層の観察もありますので、追って別記事で紹介します。

イ 谷中分水界南における古柏井川谷底面の存在
下総上位面を刻む浅い谷(下総下位面)をさらに刻む谷底があり、高さから古柏井川谷底面の断片と見立てました。
高度は17mで、ゴルフ場付近の古柏井川河道の高度16mより1m高くなります。

ウ 花見川河岸段丘
北柏井の集落の乗っている広い河岸段丘(図では花見川河岸段丘)は、高度は14mと16mの二段あるように見えます。
高度からこの段丘が直接古柏井川谷底に対比することはできないように感じます。

つづく

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