2013年1月4日金曜日

印旛沼流域下水道の伏越

昨年末に実施した「花見川河川敷内で発見された戦争遺跡の予備調査」では印旛沼下水道事務所に管理用道路の通行の便を図っていただき大変助かりました。
改めてお礼申し上げます。

ところで、その調査の際に「西部ゲート」の存在を知り、どのような機能を果たしているのか印旛沼下水道事務所から教えていただきました。
私にとって驚くべき施設がそこに存在していたので、流域下水道の概要とともに報告します。

ア 印旛沼流域下水道のあらまし(パンフレットより)
昭和40年代、東京から50㎞圏にある印旛沼は、その流域の急速な開発と都市化により水質が悪化し、貴重な水資源の保全を迫られていました。また、流域の市町村は、公共下水道の整備により生活環境を向上させ、すみよい町づくりを目指していました。
そこで、主として印旛沼流域を対象とする印旛沼流域下水道が、昭和43年12月に都市計画決定され、県が建設を進めてきました。
印旛沼流域下水道は、平成23年3月現在、13市町約124万人の生活排水や工場排水を、総延長約163㎞の管渠と10か所のポンプ場を経て花見川終末処理場及び花見川第二終末処理場で処理しています。
千葉市にある花見川終末処理場は昭和49年4月に供用開始し、また千葉市と習志野市にまたがる花見川第二終末処理場は平成6年6月に供用開始しました。ひきつづき管渠、処理場などの施設整備を進めています。
なお、印旛沼流域下水道では、下水道の多目的利用として、①処理水を高度処理し、水洗トイレ等に利用する「再生水利用」事業、②地域冷暖房に処理水の持つ熱を利用する「処理水再利用」事業、③都市河川の流量維持や水質改善等を目的とした「高度処理水河川放流」事業、④水処理施設の上部空間を「美浜ふれあい広場」として県民に開放する事業を行っています。

印旛沼流域下水道の概要

印旛沼流域下水道の全体図

印旛沼流域下水道の終末処理場付近拡大図

これらの情報から、印旛沼流域下水道は花見川を境にして、東部と西部に分けられ、管渠体系と終末処理場も異なることがわかります。

イ 西部ゲートの役割
印旛沼下水道事務所の担当の方から、西部ゲートは東部幹線と西部幹線をつなぐ役割をしていると教えていただきました。

東部幹線と西部幹線をつなぐ役割

構造的には次の図に示すように、花見川の地下に大規模な伏越(サイフォン)を通しています。

伏越部の断面

常時は使用しておらず、非常時等に西部幹線から東部幹線へ、あるいは逆に東部幹線から西部幹線に下水道水を流せるとのことです。
幹線や処理場に問題が生じた時の安全弁の役割をはたしているようです。

地下の構造物については散歩している分には知る由もなく、たまたま知った巨大な伏越の存在に驚きました。
快適な現代生活に必須の装置を置くために、眼前の花見川の風景を破壊しない工夫が人知れずここにあることに、一種の感慨を持ちました。

なお、伏越の場所が陸軍の軽便鉄道架橋地点であることも、単なる偶然ではなく、時代が変わっても失われない土地特性(土地機能)がそこにあると理解できて、興味を深めることができました。

花見川は、西岸と東岸では小金牧と六方野、習志野演習場と下志津演習場など歴史的に境界機能を有していますが、現代都市施設の流域下水道システムも西と東に分かれていることを今回知り、その面でも花見川の境界機能を目の当たりにすることができました。

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