2013年5月24日金曜日

千葉土木事務所に質問して回答を得る2(河川整備計画の記述の疑問)


1 質問
次の質問を千葉土木事務所にしました。
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花見川の河川整備計画の記述に関する疑問

利根川水系手賀沼・印旛沼・根子名川圏域河川整備計画における印旛放水路(下流部)の記述「印旛放水路(下流部)は印旛沼開発事業により下総台地を開削して作られた人工河川です」は次のような誤りと人々に誤認識を与える表現です。

利根川水系手賀沼・印旛沼・根子名川圏域河川整備計画における記述の誤りと人々に誤認識を与える表現
誤り・人々に誤認識を与える表現
説明
印旛放水路(下流部)は印旛沼開発事業により下総台地を開削して作られた
1 印旛沼開発事業では天保期印旛沼堀割普請でつくられた堀割の改修を行っていますが、「下総台地を開削した」という表現は工事の実態を調べることなくイメージだけで作文した誤りです。
堀割を改修したのですから堀割の掘削工事はしていますが、台地開削という表現は極端な誇張表現であり、誤りとして訂正されるべきものです。
2 天保期印旛沼堀割普請(およびそれ以前の印旛沼堀割普請)は下総台地に刻まれた谷津(河川)の改修工事です。台地の開削ではありません。
江戸時代の印旛沼堀割普請まで遡って考えても、現在の花見川(「印旛放水路(下流部)」)の出自は台地ではなく、河川(※)です。
※横戸台付近に谷中分水界があり、南が東京湾水系花見川の谷津、北が印旛沼水系の谷津
千葉県の「印旛放水路(下流部)」=下総台地開削説は訂正されなければなりません。
印旛放水路(下流部)は人工河川
1 現在の花見川(印旛放水路(下流部))の自然地理的出自は河川です。もともと存在した河川地形を利用して江戸時代からの工事の継続の結果できた河川です。出自という面から見ると人工河川は誤用です。
花見川は全く何もない台地を開削してつくった人工河川ではありません。

2 花見川は流域変更し、放水路機能を持たせましたから、人の手が加わっています。そのように人の手を加えた河川を人工河川とよぶなら人工河川です。そのような用語法を執るならば千葉県にある河川はすべて人工河川です。しかし、千葉県の河川整備計画では花見川のみを特定して人工河川と定義していて、他の河川について人工河川とか自然河川とかの定義をしていません。

花見川が人工河川であるということさらの記述は、「印旛放水路(下流部)」という名称とペアになって、花見川が3つの自然流域(高津川流域、勝田川流域、もともとの花見川流域)から成り立つ河川であるという正しい認識を、人々が持つことを阻害する名称です。用語「人工河川」は人々が花見川を河川として認識することを妨げている役割を果たしています。


質問その3 上記の河川整備計画記述の誤りと誤認識を与える表現の指摘について、河川管理者の回答をお聞かせください。
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2 回答
この質問にたいして次の趣旨の回答(情報)をいただきました。
回答(情報)(口頭でいただいた話を当方でまとめたものです)
①「下総台地を開削」についての記述の根拠(出典)は河川課で調べたが見つかっていない。夏頃をめどに回答する。
②次の3つの理由から印旛放水路は「人工河川」である。
1印旛放水路ではポンプアップして水を流す構造になっている。常時水が流れうる構造ではない。
2江戸時代以降工事が行われてきた水路である。
3昭和の工事で現在の水路を造った。

パンフレット「印旛沼のあらまし」(千葉県印旛地域整備センター、佐倉市環境保全課)

3 感想
①「下総台地を開削」について
1月にこの質問をしました。その後年度末を挟んだといっても時間は十分あるはずです。千葉土木事務所のみならず本庁担当課でしらべても「下総台地を開削」した根拠(出典)が見つからないということは、それが存在しないからだと思います。
当方の趣旨は、資料の存否で千葉県と言い争いをしようという所にはありません。河川管理者にも花見川の出自(自然史的出自)について関心を持ってもらいたいと思っています。

②「人工河川」について
当方の質問といただいた回答が全くかみ合っていません。

千葉土木事務所さんのおっしゃる通り、「印旛放水路」(阿宗橋~東京湾)という設定は、二つの自然流域(印旛沼流域と花見川流域)を乗り越えて水を流すのですから人工です。

当方が問題にしているのは花見川流域(3つの自然流域を流域変更により統合した流域)という自然流域を流れる河川(高津川と勝田川が合流し、柏井、花島、犢橋、長作等で支川が流入する花見川)を人工河川として定義してしまっている点です。

質問と回答がかみ合わなかったおかげで、問題意識がより整理されました。

私は、次の千葉県作成「印旛沼流域図」に出てくる流域面積61.65km2の流域を花見川流域と考え、その流域に対応する水系を花見川水系と考え、その水系は(流域変更によってつくられたものだけれども)あくまで自然水系として取り扱うべきものだと考えました。

千葉県作成「印旛沼流域図」に現れる面積61.652の流域

一方、千葉県は印旛放水路(阿宗橋から東京湾に放水する水路)を設定し、それを人工河川と定義した。それだけがあるのです。
現実世界に存在する花見川流域、その流域に対応する花見川水系というものに対応する言葉や定義が、河川行政上存在していないと考えます。

花見川に対して、人工河川という言葉しか存在しなければ、花見川の環境や歴史や文化等に対する取組は虚弱なものにならざるを得ません。
「治水・利水・環境の3つの目的を達成する」という河川法の理念を、原理的に担保しない状況をセットしています。

つづく

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