2013年12月6日金曜日

印旛沼からの洪水排水と「非対称性」

1 印旛沼からの洪水排水
台風26号による印旛沼の洪水を花見川に排水した規模が過去最大レベルであった様子を2013.12.05記事「大和田機場からの花見川への洪水排水統計」で書きました。
この時、印旛沼の洪水排水は当然のことですが、花見川だけでなく利根川にも排水されていますので、その記録を紹介します。

印旛沼ポンプ洪水排水運転状況(201310月分)

印旛沼の水位が過去最高のYP4.17mになり、堤防の一部が溢水するという緊急事態に、印旛機場と大和田機場の能力目一杯のポンプ排水が利根川と花見川に対して行われたということです。

印旛沼の水管理は次のような仕組みで行われています。

印旛沼の水管理
「印旛沼(調整池)の水位は、3機場と酒直水門の操作により、かんがい期(58月)にあっては、YP2.5m、非かんがい期(9月~翌年4月)にあっては、YP2.3mに保持します。
また、洪水時には水位を低下させるための排水を行います。」(水資源機構千葉用水総合管理所パンフレット「水を活かす印旛沼」による)

沼に入る水量の割合とその利用
水資源機構千葉用水総合管理所パンフレット「水を活かす印旛沼」による

印旛沼の水の流れ
水資源機構千葉用水総合管理所パンフレット「水を活かす印旛沼」による

2 花見川が果たす役割
花見川が果たす役割の一つとして印旛沼流域の洪水排水を担うことが挙げられ、その現実の様子を台風26号の大雨の際に実感(体験)できたことは良かったと思います。
花見川のあるべき姿について考える際に、120m3/sのポンプ排水の様子を知っておくことが、その前提の一つになります。

なお、花見川自体の治水ということを考えると、大和田機場からの120m3/sのポンプ排水と勝田川と高津川からの洪水との関係が気になります。恐らく時間差や量の差には大きなものがあるのではないかと考えますが、情報が入手できれば、検討してみたいと思います。

3 流域間の非対称性
2つの機場および2つの流域界の位置を鳥瞰すると次のようになります。

2つの機場および2つの流域界の位置

印旛沼流域は元来利根川水系の一部で、洪水も利根川に排水されていたものです。しかし、印旛沼開発で流域変更が行われるとともに、洪水の一部を花見川に排水するようになりました。

印旛沼の開発のためにはそれでよいのですが、元来の花見川流域はこの開発でどのようなメリットをうけたのでしょうか?

印旛沼開発では印旛沼流域が一方的にメリットを享受して、元来の花見川流域は一方的に洪水排水や他のデメリットを甘受させられるという、非対称的関係があるように感じてしかたがありません。

それともなにか別のことでバランスがとれていて、対称性が保持されているのでしょうか?


花見川が「印旛放水路(下流部)」と無理矢理に改姓させられ、千葉県下で唯一「人工河川」という烙印を押されている状況の真の意味は、印旛沼流域と元来の花見川流域の非対称性に人々が気がつかないようにする(非対称性を当たり前として、疑問の余地を生じさせない)ための高度な策略であると、感じて仕方がありません。

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