2014年1月18日土曜日

妄想か発見か 印旛沼筋曲流の謎が解ける

花見川流域の小崖地形 その100 (千葉県北部地形の学習 5

2014.01.17記事「地表面が巨大露頭であることに気がつく」で、これまで単なる模様に見えていた地形段彩図が、地殻変動の結果を表現している地図に見えだしたことを書きました。

毎日飽きもせず地形段彩図とにらめっこしてきた甲斐があったようです。

1 印旛沼筋北岸の変動地形図の作成
次の図は印旛沼北岸に限って地形から判定できる主な隆起軸と沈降軸を描いたものです。

印旛沼筋北岸の変動地形

隆起軸(つまり小さな背斜軸)と沈降軸(ちいさな向斜軸)が交互に出現しており、その全体パターン自体が鋭角的になっているところもあります。

また、印旛沼が曲流する付近のパターンとそれより北西にあるパターンとは連続していません。

参考 活構造図
50万分の1地質図(活構造図)東京第2
地質図Naviによる
凡例等注記を書き込み

2 印旛沼筋曲流の謎がわかる
鹿島川の流路は、下総下位面の分布から次のように考えられています。

地殻変動前の鹿島川流路のイメージ

しかし、下総下位面形成後の地殻変動により、鹿島川の流路が現在のようになりました。

鹿島川が現在の流路をとるに至った理由は、変動地形の分布から知ることができます。

つまり、鹿島川が起源の異なる幾つかの沈降軸を経由して(利用して)現在の利根川低地方向に出ることができたということです。

鹿島川の出自について有力な仮説を持つことができました。

鹿島川が現在の利根川低地方向に流れるために利用した沈降軸(向斜軸)

これで、印旛沼が極端な曲流をしている姿の謎が解けました。

3 印旛沼筋河川争奪の原因の一つの有力情報を得る

鹿島川は沈降軸(小さな向斜軸)を利用して現在の利根川低地方面に流れることができました。
一方、古平戸川は隆起軸(小さな背斜軸)に阻まれて手賀沼方面へ流れることができなくなったと考えることができます。

古平戸川の口は隆起軸で塞がれた

地殻変動により古平戸川がダムアップしてしまい、一方鹿島川はダムアップを免れれば、鹿島川の浸食力が古平戸川より勝ることになりますから、河川争奪(河道逆行争奪)が発生する必然性が生じます。


1 件のコメント:

  1. 3年程前、千葉県立中央博物館で地学の研究員の方に地形についていろいろと教えていただいたことがありました。その時、印旛沼の流路が極端に曲がっている理由は判っていないという趣旨の発言をしていらっしゃいました。
    その一言が耳に残り、印旛沼筋の極端な曲流についてはまだ調べられていないらしいという感想をもち続けていました。

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