2014年5月2日金曜日

花見川河川争奪の成因検討 その1(地殻変動)

シリーズ 花見川地峡成立の自然史 -仮説的検討-
第2部 花見川河川争奪に遡る その15

河道逆行争奪と名付けた通常の河川争奪とは異なる原理(動的河川争奪)に基づく花見川河川争奪がなぜ発生しか、その成因を検討します。

花見川河川争奪の主な成因は次の2に集約できます。

●花見川河川争奪の2つの主成因
成因1 地殻変動による印旛沼水系谷津の変位
成因2 花島-柏井ライン谷津(印旛沼水系)の発達性と東京湾水系との地理的位置関係

この記事では「成因1 地殻変動による印旛沼水系谷津の変位」について検討します。


これまでの説明で花見川河川争奪が次のようなステージを経ていることを示しました。

花見川河川争奪の模式段階
(注 ステージ1に到達するまでの状況は2014.04.23記事「動的河川争奪 追考」で考察しています。)

ステージ1からステージ2に争奪ポイントを移動させることは、実は花見川筋だけでなく、近隣の小さな谷津が全て行っています。

次の図(の左図)は開発前の地形を表現している千葉市都市図(1960年)を基図として、水系と谷津の状況を示したものです。

千葉市都市図を基図に示した水系と谷津の状況

東京湾水系(深い谷津)が台地上の印旛沼水系起源谷津を選択して頭方侵蝕している状況を示しています。
印旛沼水系起源谷津は地殻変動(活断層)により印旛沼水系と断絶した化石谷津です。

東京湾水系が頭方侵蝕(谷頭侵蝕)によって台地上の化石谷津に達すると、化石谷津は自動的に東京湾水系の支谷津になってしまいます。
この付近一帯では、東京湾水系が元印旛沼水系の領域(営力上の無風地帯)にいわば無血入城しているのです。

このように、東京湾水系の頭方侵蝕により、花見川筋を含めてこの付近一帯では各所でステージ1からステージ2に進行しました。つまり東京湾水系の領域が北上しました。

化石化した印旛沼水系起源谷津を東京湾水系が頭方侵蝕しているゾーンを示すと次のようになります。

化石化した印旛沼水系起源谷津を東京湾水系が頭方侵蝕しているゾーン 3D表示

化石化した印旛沼水系起源谷津を東京湾水系が頭方侵蝕しているゾーン 3D表示(別角度)

ステージ1からステージ2への移行(河川争奪ポイントの移動)は、この付近では一般的な現象です。

次にステージ2からステージ3への移行(河川争奪ポイントの移動)が花見川筋だけで生じた理由を検討します。

つづく

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