2014年9月1日月曜日

埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図

シリーズ 花見川地峡の利用・開発史
第1部 縄文弥生時代の交通 その24

1 アドレスマッチングで作成したプロット図の名称
アドレスマッチングにより遺跡データをプロットすると、各遺跡はそれが存在する町丁大字中央部の経緯度を取得することが判りました。
同じ町丁大字に存在する遺跡は全部同じ位置(町丁大字の中央部)に存在することと同じデータになります。
ですから、そのデータをGISにプロットすると、見かけ上プロット箇所は少なくなります。またプロットされた場所は各遺跡の位置から平均して数百m離れた場所となります。

このような特性を備えたプロット図をこれまでは「アドレスマッチング遺跡プロット図」と呼んできました。しかしこの名称では誤解を生じます。

そこで、この情報の特性をそのまま表現することにして、これからは「埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図」と呼ぶことにします。

このプロット図は遺跡の位置を示したものではなく、遺跡が存在する町丁大字の位置をプロットしたものです。

従って、このプロット図は遺跡が存在する町丁大字がどのように分布するかということをイメージできます。
また遺跡密度の高低を直接知ることはできない情報です。

2 埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図の表示記号
当面、市町村別遺跡密度図と埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図を比較して、有用な情報を引き出そうと目論んでいます。

従って、千葉県全体を表現する地図を作成したとき、プロットによってその分布が最もわかりやすい記号を選ぶことにしました。

次に4つの記号で全時代遺跡存在町丁大字プロット図を作成してみました。

4つの記号で作成した全時代埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図

比較して3が最もわかりやすいので、これからの検討は3の記号で作成した埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図により行うこととします。

3 全時代の市町村別遺跡密度図と埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図の対照
旧石器時代から近代までを含む全時代の遺跡データにより作成した市町村別遺跡密度図と埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図を対照してみました。

全時代の市町村別遺跡密度図と埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図の対照図

全く同じデータから作成した分布図ですから類似の傾向がみられると予想したのですが、全時代の埋蔵文化財については直感的な対応が感じません。

これは、埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図で見てわかるように、プロットしたドット数が多く、南房総の一部地域を除き、ドットがいわば視覚的に飽和してしまったためであることに気がつきました。

次の記事から検討する各時代別対照ではこのような飽和現象は生じません。

プロット図から得られる情報は、全時代の埋蔵文化財を対象にすると、南房総の一部を除き、かなり均質に万遍なく分布しているということです。
そして、市町村別密度図からわかるように、プロット図の1ドットが代表する遺跡数が袖ケ浦市や佐倉市では多いということです。

この対照考察から、私は全時代の埋蔵文化財密度図から得られる情報が思っていた以上に貴重なものであると、気がつきました。

全時代密度図は「歴史の濃さ」、「歴史濃度」、「歴史密度」の総集編のような指標として利用できると思います。

この情報は埋蔵文化財の分布域を把握しても容易には浮かび上がってこない情報です。

4 密度図の改良可能性
これまでの検討で、時代別市町村別埋蔵文化財密度図から有益な情報をいろいろと得てきました。
一方、面積の大きい市原市と酒々井町のような面積の小さい自治体を同じレベルの単位として考え、密度計算する不合理に悩まされてきています。
しかし、自治体別に集計することは簡単ですからそうしてきました。

また、自治体面積に現代の埋立地を入れたことも不合理であると考えています。

さて、アドレスマッチングをすることにより19905件の全埋蔵文化財情報に簡易的ですが、経緯度情報が付き、GIS上にプロットできるようになりました。

この情報を使えば、GIS上でメッシュ毎に埋蔵文化財数を集計して密度図をつくることが可能であることに気がつきました。

「埋蔵文化財が存在する町丁大字プロット図」にメッシュを記入した図

プログラムを組めば、メッシュ毎に埋蔵文化財数をカウントして、密度として表現することができます。
埋蔵文化財密度図の改良が可能であることが判ったので、将来のために記録しておきます。

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