2014年9月13日土曜日

旧石器と縄文の遺跡密度図(ヒートマップ)比較

花見川地峡史-メモ・仮説集>3花見川地峡の利用・開発史> 3.1埋蔵文化財データに基づく地域特性基礎検討>3.1.33旧石器と縄文の遺跡密度図(ヒートマップ)比較

1 旧石器時代遺跡密度図(ヒートマップ)の作成
「ふさの国ナビゲーション」(千葉県教育委員会)からダウンロードした旧石器時代遺跡データ(885件)の緯度経度情報をアドレスマッチングにより取得し、そのデータをQGISにプロットし、ヒートマッププラグインを使って半径パラメータ5000mでヒートマップを作成しました。
同じデータで以前作った市区町村別密度図と対照して次に表示します。

旧石器時代市区町村別密度図とヒートマップ

ヒートマップを見ると赤い目玉状の高密度地区が数か所分布していることが特徴的です。
この赤い目玉のような場所が旧石器時代人の代表的狩場であったと考えます。
赤い目玉をつなぐように白い場所(遺跡密度が中程度の場所)が分布していますが、この白い場所は旧石器時代人の主要移動ルートと考えることができます。

ヒートマップを作成することにより、旧石器時代の主要狩場と主要移動ルートのイメージを持つことができました。

このようなイメージ図はこれまで無かったもののようです。

このイメージ図の的確性(専門的調査研究に基づく主要狩場と主要移動ルートの想定からみた的確性)がどの程度のものであるか、ここでは評価できませんが、火の無い所に煙は立たないと考えると、赤い目玉には意味があり、検討の出発点としての価値はあると考えます。

市区町村別密度図とヒートマップに示される分布大勢がほぼ対応します。
同じ情報からつくったものですから、分布大勢が一致することは当然です。
同時に、アドレスマッチングとGIS分析(ヒートマップ分析)という最新技術を使うと、同じ情報でイメージをこれだけ具体化できるという驚きの感想も持つことができます。

2 旧石器と縄文のヒートマップの比較
次に旧石器時代遺跡密度図(ヒートマップ)と縄文時代遺跡密度図(ヒートマップ)を対照出来る図を作成しました。

旧石器と縄文のヒートマップ対照図

2-1 狩場の継承?
特徴的なことは、旧石器ア地区が縄文d地区に、ウ地区がe地区に、エ地区がa地区の一部に、オ地区がc地区にほぼそのまま対応するということです。

これは旧石器時代の代表的狩場が縄文時代に狩場として引き継がれた可能性があることを示しています。

旧石器ウ地区は近くの比高のある急崖を利用して狩が行われた可能性を検討しました(2014.09.04記事「旧石器遺跡分布から推定する狩方法」参照)が、縄文e地区の近くで規模の大きな縄文時代狩猟遺跡が発見されています。(東金市養安寺遺跡、千葉市埋蔵文化財調査センター西野雅人さんから教えていただく。)

ウ地区だけでなくア地区、エ地区、オ地区等も狩場として縄文時代に引き継がれていったのか、縄文時代を通じて狩場であったのか、個々の遺跡検討も徐々に視野に入れて検討していきたいと思います。

なお、縄文d地区は2014.09.12記事「縄文時代遺跡密度図(ヒートマップ)考察」で交易・交流機能があるのではないかと考えました。
もし交易・交流機能があるとすれば縄文時代が成熟した時期のことであると思います。
旧石器時代人から狩場として継承したということ、交易・交流機能があるということが背反するのか両立するのか、分布図だけを眺めていてもわかりませんから、縄文時代の各期別に遺跡を見るような活動に少しづつ進みます。

当面縄文時代ヒートマップを各期別に作れないか検討するつもりです。

2-2 縄文時代に生まれた拠点?
縄文時代a地区の大半、b地区は旧石器時代の遺跡密集地と関わりません。この二つの遺跡密集地は旧石器時代人が使っていなかった場所(狩場でなかった場所)を縄文時代になって初めて使った(遺跡密集地とした)場所です。そして二つとも規模が大きく一方は東京湾、一方は香取の海に面しています。

感覚的な印象として、千葉県北部における縄文時代拠点はこの二つであると考えます。
縄文時代全体ではなく、時期別ヒートマップをつくればより具体的な様子がわかると思います。

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