2015年7月26日日曜日

萱田遺跡群の鉄製品出土物 その1 鉄鏃

花見川地峡史-メモ・仮説集->3花見川地峡の利用・開発史> 3.4〔仮説〕律令国家の直線道路、東海道水運支路の検討>3.4.173 萱田遺跡群の鉄製品出土物 その1 鉄鏃

萱田遺跡群の鉄製品について検討します。

つぎのグラフは萱田遺跡群の全ての金属製品出土物を集計したグラフです。

萱田遺跡群金属製品出土数

刀子が187で最も多く、次いで鉄鏃80、鎌49、手鎌22、銙帯22、紡錘具15と続きます。

使途不明品は99に上ります。

銙帯には青銅品が含まれ、仏像・和鏡・銭貨は銅製品です。それ以外は全て鉄製品です。

この金属製品出土物の中で鉄鏃のみが武器そのものです。刀子は多目的に用いられた道具と考えます。多目的の中に護身用としての利用もあると考えられますが、武器としての利用はあくまでも副次的なものであると考えます 。

それ以外の製品は全て武器としては用いられないものです。

この記事では武器である鉄鏃について考えます。

鉄鏃には次のような3種類の形状のものが出土しています。

鉄鏃の例

鏃は木の棒の先に据え付けられていた痕跡をとどめるものが多く、槍として使われていたようです。

鉄鏃の遺跡別・ゾーン別出土状況をまとめると次のようになります。

萱田遺跡群の鉄鏃出土状況

竪穴住居10軒あたり鉄鏃出土数を地図にすると次のようになります。

竪穴住居10軒あたり鉄鏃出土数

竪穴住居10軒あたり鉄鏃出土数が大きい値であるということは、人口当たり鉄鏃数が多いことを示すと考えられ、それは人口に占める兵士の割合が高かったことを示すと考えられます。

つまり竪穴住居10軒あたり鉄鏃出土数が大きい値であるゾーンは軍事的機能が高いゾーンであると考えます。

つづく

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