2015年7月12日日曜日

メモ 地名に関する想像的検討方法について

小字地名データベース作成活用プロジェクト 19

地名の中で古代社会で生まれた地名を抽出し、地名から古代社会の有用な情報を引き出すことが出来るのではないだろうかと考え、その方法を編み出したいと考えていいます。

現在小字リストの電子化に取り組み、パソコン上で小字の統計、分布などを効率的に調べることができるようにしつつあります。

そのようなパソコン上の仕組みができたとき、地名から情報を引き出す方法の一つとして、想像的検討方法というものがあるような気がしていますので、メモをしておきます。

地名の語源分析、地名の統計分析、地名の分布分析(地理的分析)、地名と古文書・墨書土器文字との対比等の一般調査分析方法により、地名から古代社会に関する情報を引き出すことができると考えます。

広域の小字リストをデータベース化して、分析するという取組の例はおそらく大変少ないと考えます。

従って、広域小字リストのデータベースを使って、地名の語源分析、地名の統計分析、地名の分布分析(地理的分析)、地名と古文書・墨書土器文字との対比等の一般調査分析を行えば、おそらく大きな成果が得られると考えています。

同時に次のような想像的検討方法の適用も地名については意義があるように考えます。

●地名の想像的検討方法のイメージ

次の図は八千代市白幡前付近の小字分布です。


八千代市白幡前遺跡付近の小字分布(寺院関連地名検討図)

この小字分布図(検討図)を見て、私は次のような「想像」をします。

私の想像

・堂ノ後、寺谷津、坊山は白幡前遺跡の古代寺院(「大寺」?)に因んでうまれた地名の可能性がある。堂ノ後は古代寺院廃滅後の地名、寺谷津は古代寺院が存在していた頃(8世紀~9世紀中頃)からあったかもしれない。

・寺の台は井戸向遺跡に在ったと想定する寺院関連施設に因んで生まれた地名であると想像する。したがって8世紀~9世紀中頃生まれた地名か?

・木戸浦は井戸向遺跡の古代集落の中の官庁施設の存在に因むと考える。また志津根の志津は商業港湾を意味していて、古代集落の施設に因むと考える。

・牛喰は古代殺牛祭神の風習が行われていたことを伝える地名であると考える。古墳時代から伝わってきた地名であるような気がする。

・白幡前も古墳時代の新羅系渡来人居住に因む地名であるような気がする。

・白幡前遺跡が近隣遺跡を指導していたと考えるが、その権力を伝えるような地名が存在しないのは不思議だ。

・・・

私の想像は広がります。想像の素となった各種情報・知識・関連インタレストも列挙することができます。

さて、このような想像は将来詳しく確実な情報が集まれば、随分と間違いが多いとか、意外と正確な想定であったとか、結果がでます。

素人が行う想像の価値は低く、知識・情報の豊富な専門家の行う想像は価値が高いと思います。

私は、この想像そのものの価値(結果としての正確さ)は別にして、想像を行うこと自体に大きな意味があると考えています。

素人が行うにせよ、専門家が行うにせよ、想像はあくまで想像で間違いや偏りは大いにあります。
しかし、それを前提に(間違いや偏り前提に)、多くの想像を行い、記録しておけば、確かな地名の意味・情報がわかったとき、想像の間違いや偏りの傾向がわかります。したがって、過去の想像を補正し、これからの想像の精度がアップします。

想像それ自体の価値は低くても、想像を繰り返し、記録し、想像のパターンを整理しておけば、正確な情報を得た時、過去の想像が一気に有用で使える情報に変換されます。

このような想像的方法は地名を使って古代社会の様子を知ろうとするとき、有用だと思います。

小字リストのデータベースを使う地名の想像的検討方法を編み出したいと考えます。






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