2015年7月22日水曜日

市川市香取について

小字地名データベース作成活用プロジェクト 22

前後のブログ記事と無関係で、花見川ともあまり関係しませんが、自分にとって興味ある地名を見つけましたので、メモしておきます。

2015.06.26記事「市川市等5市の小字データベース完成」で報告した千葉県内11市の小字データベースを見ていると、市川市に香取という大字・小字を見つけました。

この付近は14世紀頃香取神社の河関があった場所であり、その歴史が地名になって残っていると考えられ、興味を引きます。
将来詳しく検討したいと思います。

データベースで香取を検索した結果

データベースで検索すると千葉県内11市で5つの「香取」小字が見つかります。
八千代市の香取下(吉橋)は検討していません。
残り4つの小字は全て市川市内です。

市川市の大字香取(カンドリ)の位置は次の図の通りです。

市川市大字香取の位置

大字湊は大字香取の北に隣接し、大字欠真間は大字香取の東に隣接しています。
ですから、市川市内の「香取」小字の大元は大字「香取」(カンドリ)付近にあることが推察できます。

次の図は鈴木哲雄「中世関東の内海世界」に掲載されている図に書き込みをして引用したものです。

「海夫注文」に載る津と香取社の河関
鈴木哲雄「中世関東の内海世界」より引用・書き込み

この図の香取社の河関の△行徳の位置が現在の市川市大字香取(カンドリ)に対応します。

中世(14世紀)に香取神宮の経済権益が太日川(フトイカワ、現在の江戸川)にまで及び、香取神宮が行徳で江戸川を通航する荷に対して徴税していた河関の場所が地名として現在まで伝わっています。

大変興味深い地名事象ですので、将来詳しく検討したいと思います。

なお、中世(14世紀)の香取神宮の影響圏が香取内海と太日川に2分されていたことから、当時既に花見川-平戸川筋の運輸通航が廃絶していたと認識することができます。

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次の感想は本質から外れたものとなっていると考えますので廃棄します。
カリトリがまなって「カントリ」とか「カンドリ」になったと考えます。(2015.07.25追記)
2015.07.25記事「文書表現「カトリ」と発音表現「カントリ」の差異に着目する」参照

香取をカンドリと読む背景に、徴税の行為を博打用語の総取り(ソウドリ)とか犯罪用語の横取り(ヨコドリ)などの「ドリ」に擬して発音した思考があると空想します。完取り(カンドリ)[完全に徴税する]の意味が込められていたのかもしれません。関(カン、すなわち河関)取り(ドリ)かもしれません。
香取をカトリと素直に発音するのではなく、濁音にして言外に徴税に反抗した雰囲気を感じます。香取神宮は太日川(江戸川)では民衆に強くは受け入れられていなかったと空想します。


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