2016年7月1日金曜日

私家版GISデータベースの活用イメージ

2016.06.30記事「私家版千葉県歴史・地名GISデータベースの構築」で書いたデータベースの現段階における活用イメージをメモしておきます。

画期的な活用がイメージできます。


1 地名から得られるヒントの遺跡情報検討への投影

地名の分布から様々なヒントを得ることができます。

地名分布と遺跡分布を関連づけることによって次のような検討が可能となりました。

●例1 ウタリ・コタン等地名と古代遺跡の遺構・遺物との関連性

アイヌ語地名と言われる地名が千葉県にかなりあります。

2016.06.04記事「千葉県の地名 ウタリ・コタン等
2016.06.03記事「「ナイ」地名、半濁音地名、「ホロ・ポロ」地名
2016.06.02記事「千葉県のアイヌ語地名「メナ」

参考

これらの地名は縄文人末裔と政権側の人々がまだ入り組んで共存していた時代にその起源を持つと考えます。

これらの地名の近くの古代遺跡の遺構・遺物を縄文人末裔との関わりという観点から再検討すると、新たな情報が見つかるかもしれません。

縄文人末裔と政権側の人々の共存を示す物的証拠は必ず存在すると考えます。

しかし、検討しているその場所が縄文人末裔と政権側の人々が共存していた場所かもしれないという情報(地名情報)がなければ、それに気が付くことはほとんど不可能であると考えます。


●例2 ウルシ地名と墨書文字「七」「知」「益」との関連性

ウルシ地名と墨書文字「七」(シチ…漆の音であるシチ)、「知」(シル…漆の汁)、「益」(エキ…漆の液体)の出土遺跡が関連していることをこのブログで突き止めています。

2016.04.06記事「参考 千葉県における漆関連墨書文字分布」参照

参考
赤丸 小字「ウルシ」
青四角 墨書文字「七」「知」「益」

ウルシ地名という情報に基づいて、近隣古代遺跡の遺物や墨書土器を精査すればそこに漆活動の確実な証拠を発見できる可能性があります。

●例3 地名「白幡」と墨書文字「子」「小」(=蚕)との関連性

墨書文字「子」「小」が蚕を意味することをこのブログで確かめています。

そして、墨書文字「子」「小」が出土する遺跡の近くには地名「シラハタ」が多いことが判っています。

2016.03.28 「参考 千葉県における墨書文字「子」「小」(=蚕)出土遺跡」参照

参考

地名「白幡」からヒントを得て、周辺遺跡から古代養蚕活動の証拠を見つけることの可能性が高まります。


以上の例はほんの一例であり、地名から得られるヒントは無限にありますから、そのヒントを遺跡・墨書土器データベースに投影することによって、これまで見過ごされてきた有用情報獲得の可能性が大いに高まります。


2 遺跡情報(遺構・遺物情報)の地名由来への投影

●例 墨書文字「大」と小字「大野」の関連性

鳴神山遺跡の最多出土墨書文字は「大」ですが、この分布と小字「大野」の領域が対応することから小字「大野」の地名由来の一つの有用な情報を得ることができます。

2015.12.20記事「鳴神山遺跡最多出土墨書文字「大」と小字「大野」」参照

墨書土器文字「大」と小字「大野」

この例は一例にすぎません。遺構や遺物情報からより合理的に解釈できる地名由来を知ることができます。

私家版千葉県歴史・地名GISデータベースを活用することによって私の趣味活動の質を飛躍的に向上できそうです。

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