2016年11月20日日曜日

1927年軽便鉄道架橋写真中の逓信機器

2013.05.02記事「1927年頃の軽便鉄道の花見川架橋写真紹介」に伊謄様からコメントをいただき、架橋写真中の逓信マークの入っている機械は通信機器である可能性を教えていただきました。

その写真をよくみるとこれまで気が付かなったことに気が付き、確かに電信機器である可能性が大いに高まりましたので、報告します。

2013.05.02記事「1927年頃の軽便鉄道の花見川架橋写真紹介」掲載 架橋作業
出典:「写真に見る鉄道連隊」(髙木宏之著、光人社発行) 写真掲載は著者及び発行元の承諾済み

これまでこの写真の逓信マークのあるボックスはその全景がほぼ見えていると感じていました。

しかし、コメントのご指摘を確認するために写真を拡大して子細に観察すると次のような構成であることが判明しました。

逓信マークのあるボックスと車軸で連結した車輪

逓信マークのあるボックスはその下部が車軸で結ばれた車輪(対)の影でほとんど隠れていることが判りました。

車輪の外側にカバーがあり、そのカバーをボックスの一部と錯覚してきていたのです。

さて、車軸で結ばれた車輪1対には外側にカバーがあるので、それ自体が利用されている製品であることが判ります。

同時に車軸中央部にホイール状あるいはコイル状の物体が付いています。

車輪の大きさと車軸の長さから現在建設している軽便鉄道軌道の規格であることが推察できます。

写真に写っている工事現場用トロッコの規格でないことは確実です。

このような情報から車軸で結ばれた1対の車輪は軽便鉄道規格で作られた道具で、鉄道軌道沿いに電信線を敷設するための配線道具であると推定しました。

旧版地形図(1/1万)をみると鉄道連隊軌道はどこでも電信線が軌道沿いに描画されていますから、このような道具があって当然だと思います。

この推定を伊謄様コメントに加えるとつぎのような状況が写真に写っていると考えます。

●鉄道第1連隊の花見川柏井における架橋演習現場に現場用電信装置(電話及びモールス通信機)を持ち込み、現場と連隊本部との連絡に使った。

●架橋演習現場までの電信線配線は、本線分岐部から支線部分を「車軸で結ばれた1対の車輪による道具」をつかって線路沿いに応急仮設的に架設してきた。

●現場用電信装置の近くに「車軸で結ばれた1対の車輪による道具」も置いた。

なお、軌道沿いの電信線配線も重要な演習であったと考えます。

この写真の中央に現場用電信装置と「車軸で結ばれた1対の車輪による道具」が写っているのは、偶然そうなったのではなく、意図的に置いて写真に良く写るようにしたものであると考えます。

実用としての現場用電信装置を置くとしたら、現場事務所ということになり、設置中の丸太部材のそばに置くはずがありません。

いわんや重量があり軌道上で利用する「車軸で結ばれた1対の車輪による道具」を花見川谷底に持ってくる必然はまったくありません。

演習でこのような最新機械や道具を使ったことを絵ハガキ写真に表現するための演出であると考えます。

普段その場にはない最新機材を置き、兵卒が汚れていない服でもっともらしい作業姿をし、将校が背筋の通った良い姿勢でそれを監督する様子を写真に撮ったということです。

写真は全部演出ですが、このような電信装置と軌道用電信線配線道具の存在を知りえたのですから素晴らしいことです。

伊謄様コメントにより鉄道連隊写真を再び楽しむことができました。

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