2017年3月15日水曜日

大膳野南貝塚 発掘面の黒斑点列は陥し穴誘導柵か

千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編の発掘現場写真をじっくり眺めていると、いくつかの陥し穴の周辺類似位置に黒斑点列が観察できます。

もしかしたら意味のある情報かと考えて、とりあえずメモしておきます。

陥し穴29号を例に黒斑点を示します。

陥し穴29号写真 1
千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編から引用

陥し穴29号 私が観察した黒斑点列
千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編から引用加筆

陥し穴29号付近写真 2
千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編から引用
9号炉穴は発掘作業途中

陥し穴29号付近2 私が観察した黒斑点列
千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編から引用加筆
9号炉穴は発掘作業途中

この黒斑点列を地図に示すと次のようになります。

陥し穴29号付近の黒斑点列

黒斑点は無数にあります。私が着目したものだけではありません。

黒斑点は垂直に切った断面で垂直方向に延びていますから、木や竹を刺した跡あるいは木の根の跡などであると考えます。

黒斑点列は、私がそこにあることを期待して観察したために、観察できた可能性もあります。つまりあまり意味のない偶然の情報である可能性もあります。

一方、発掘調査ではサイズの関係で発掘対象とならなかった穴であり、事情が許せば調査対象にすべき遺構であったものかもしれません。

プロットした黒斑点列に実体と意味があるとすれば、次のように解釈できる陥し穴誘導柵であった可能性があります。

陥し穴29号と長い誘導柵がセットで存在していた可能性

なお、陥し穴29号の平面形状が動物を追う方向に進む船の形のようになっています。

つまり陥し穴29号は動物が落ちる方向を想定して前後が異なる線形をしています。

他の陥し穴にも同様に平面形状前後が異なるものがかなり見られます。

このことから、陥し穴は付近を自由に徘徊している動物が隠された罠としての穴にたまたま落ちることを想定してつくられたものではなく、追われて逃げる方向の定まった動物が落ちるように設計されていると考えることができます。


参考 陥し穴29号
千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編から引用

参考 陥し穴29号の位置
千葉市大膳野南貝塚発掘調査報告書の第Ⅳ分冊写真図版編から引用加筆


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