2017年7月9日日曜日

土坑大きさ分布のGoogle earth pro立体グラフ表現

大膳野南貝塚後期集落土坑(264基)の検討をしていますが、土坑の大きさについて検討を始めました。
土坑大きさの指標として平面積(長径×短径×π÷4)、深さ、体積(平面積×深さ)を採用しました。

土坑の大きさデータをいじくりまわしているうちに土坑用途に関して何らかの手がかりを得られないだろうかと期待しています。
土坑データだけをいくら緻密に検討しても、そこから土坑用途が直接浮かび上がることはほぼ期待できないと思うようになっています。しかしデータをいじくりまわしてみないと、土坑検討の体験がないので、私にとって物事が始まりません。

1 土坑大きさの統計
1-1 土坑平面積
土坑平面積の最大値7.24㎡、平均値0.96㎡、最小値0.08㎡となります。

土坑平面積順位グラフ

1-2 土坑深さ
土坑深さの最大値2.66m、平均値0.44m、最小値0.08mとなります。

土坑深さ順位グラフ

1-3 土坑体積
土坑体積の最大値6.73㎥、平均値0.47㎥、最小値0.01㎥となります。

土坑体積順位グラフ

2 土坑大きさの分布検討
土坑平面積、深さ、体積についてそれぞれデータを等量5分位に区分してその分布図を作成して比較して検討してみました。

大膳野南貝塚 後期集落 土坑 面積、深さ、体積区分図

・分布図にしてみると平面積、深さ、体積の同じ分位はかなり似たものになります。
あまり細かく検討しても労力が増えるだけになりそうですから、体積をメインの指標にして検討することでよいのではないだろうかと考えます。
体積は土坑を掘る時のエネルギーと相関し、またモノを入れる容量そのものになります。

・平面積、深さ、体積とも同じ傾向となりますが、最小分位から最大分位に順に分布図をみると、分布の様子が徐々に変化している様子が観察できます。
そして最小分位の分布傾向と最大分位の分布傾向が異なるように観察できます。
最大分位の分布図では集落イメージである円形がかなり明瞭に浮かび上がっていますが、最小分位では円形パターンが必ずしも明瞭ではありません。
この結果から大きな土坑は集落構造意識と関係して構築され、小さな土坑は集落構造をイメージする思考とは無関係に構築されたことを推察することができます。

・大きな土坑は大きな土坑で集まり、小さな土坑は小さな土坑で集まっていて、それぞれ別の場所になっている(棲み分けている)ように見える場所がかなりあります。
大きな土坑が集まっている理由として、土坑の利用可能期間が限られていて、直近の場所に作り替えたことが考えられます。(イメージ 食料貯蔵庫)
小さな土坑が集まっている理由として、次々に新たな土坑をすぐ近くに必要に応じて作ったことが考えられます。(イメージ 小形土坑墓)

3 土坑体積データのGoogle earth pro立体グラフ表現
土坑体積データをGoogle earth proで立体グラフ表現してみました。
体積を棒の長さに置き換えて表現したものです。

土坑体積データGoogle earth pro立体グラフ表現

土坑体積データGoogle earth pro立体グラフ表現

土坑体積データGoogle earth pro立体グラフ表現

土坑体積データGoogle earth pro立体グラフ表現

土坑体積データGoogle earth pro立体グラフ表現

土坑体積データGoogle earth pro立体グラフ表現

2で検討した等量5分位分布図比較と異なり、体積データの分布の様子が全部一緒に直観的に観察できます。
分布図を5枚作って並べるなどという手間は必要なくなります。また視点の移動、遠望・近望など自由にできます。
この立体グラフを使って、次の記事でさらに検討を深めます。

つづく

0 件のコメント:

コメントを投稿