2017年11月14日火曜日

発掘調査報告書GIS学習 印西船穂郷の謎(1/11)

「奈良・平安期に開発した印西の船穂郷(戸神・船尾)の謎 ~大結馬牧の姿が見えてきた~」という表題で次の順番で話をします。

1 発掘調査報告書GIS学習の概略
2 7~10世紀下総国の出来事
3 戸神・船尾開発集落の生業
4 鳴神山遺跡直線道路
5 鳴神山遺跡が典型古代牧遺跡であること
6 「鳴神山遺跡=大結馬牧」仮説
7 古代開発集落が滅びた理由

1 発掘調査報告書GIS学習の概略

鳴神山遺跡を例にするとこのような発掘調査報告書を学習対象としています。
いずれも分厚い図書です。
図書館でコピーしてそれを家に持ち帰り、学習作業にとりかかります。

どの古代集落遺跡でも発掘調査報告書情報の8割程度が竪穴住居とそこからの出土物記載であるような印象を受けています。
発掘調査報告書の情報は遺構番号、文章記述、出土物一覧表、遺構・出土物図面などから構成されています。

学習に使う主なソフトはExcelとQGISです。Excelは表計算ソフト、QGISは世界で使われているフリーソフトのGIS(地理情報システム)です。QGISは高機能で絶えずバージョンアップされていて、高価な市販ソフトに見劣りするところはないと言われています。

実際の学習は発掘調査報告書の様々な項目の情報を遺構別に読み取り、Excelに入力することから始めます。
読み取る項目は種類別土器数、刀子・鉄鏃・紡錘車・・・などの出土物種類別数、墨書文字別数などなど。
Excel表の縦方向に竪穴住居番号が数百、横方向に項目が数百ならびますから巨大なExcel表をつくることになります。
次に竪穴住居の位置情報(緯度、経度)をしらべ、Excel表に追記します。
Excelで位置情報を含む遺構・遺物リストが出来上がりました。
この情報ができると、それをGISソフトにプロットすることができます。
単に分布図をつくるだけでなく、項目の重ね合わせや相互関係の分析、結果のグラフ分布図作成など高度な分析作業を極めて短時間にできるようになります。
GISソフトを使うことにより手作業では事実上不可能であると考えられるような手間のかかる作業が瞬時にできるようになります。

つづく
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パワーポイントスライドを利用して次の11話を連載しています。
1 発掘調査報告書GIS学習 印西船穂郷の謎(1/11)
2 7~10世紀下総国の出来事 印西船穂郷の謎(2/11)
3 鳴神山遺跡と船尾白幡遺跡の概要 印西船穂郷の謎(3/11)
4 鳴神山遺跡の牧と漆、墨書文字「大」「大加」集団 印西船穂郷の謎(4/11)
5 小字「大野」の出自、「大」の意味と氏族、養蚕 印西船穂郷の謎(5/11)
6 船尾白幡遺跡の養蚕、漆と麻、「帀」の意味と氏族 印西船穂郷の謎(6/11)
7 鳴神山遺跡直線道路 印西船穂郷の謎(7/11)
8 鳴神山遺跡は典型古代牧遺跡 印西船穂郷の謎(8/11)
9 「鳴神山遺跡=大結馬牧」仮説 印西船穂郷の謎(9/11)
10 大結馬牧(仮説)の領域 印西船穂郷の謎(10/11)
11 古代開発集落が滅びた理由 印西船穂郷の謎(11/11)

参考 印西船穂郷の謎講演レジメ(pdf) 12M

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