2018年1月11日木曜日

獣骨出土数の時期変遷

大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 5

獣骨出土数の時期変遷を観察します。

1 漆喰貝層有無別時期別平均獣骨数

漆喰貝層有無別時期別平均獣骨数
漆喰貝層非出土竪穴住居からの獣骨出土数の値は小さいのでグラフに表現されません。
漆喰貝層出土竪穴住居の状況をみると、最初期から堀之内1式期、堀之内2式期と時間が経つに従って平均獣骨数が急増します。
大変特徴的なグラフとなっていますので、この理由をどのように説明できることができるのか、今後石器情報検討の際に検討を深めることにします。
石器情報未検討の現状では、最初期→堀之内1式期→堀之内2式期と時間が経つに従って狩猟活動が盛んになったとととりあえず仮説しておきます。

2 考察

参考 漆喰貝層有無別時期別竪穴住居数
大膳野南貝塚後期集落は堀之内1式期にピークを迎え、この時期が漁撈活動の最盛期であったと考えることができます。
その後何らかの理由で漁撈活動が不振となり集落が衰退した時期が堀之内2式期です。この堀之内2式期に平均獣骨数が急増する理由も今後石器情報等を踏まえて検討する必要がありますが、現状では次の2つの理由のどちらかだと考え仮説候補をリストアップしておきます。

ア 漁業資源の劣化などで漁撈活動が不振となり、それに代わる動物性たんぱく質獲得のため(ご馳走獲得のため)漁撈活動より難易度の高い狩猟活動の比重を高めた。(魚介類がとれなくなったため、狩猟にはしる。)

イ 人口減少により、1人あたりに行き渡る動物肉量が増えた。その結果、海産物より美味しい動物肉獲得に社会の方向が少しずつ転換した。漁業活動より狩猟活動の価値が高まった。(魚介類はとれるが、それを採るより狩猟を選択した。)[人口減少の理由…a漁場の劣化、b漁場劣化以外]

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