2018年1月18日木曜日

石器多出竪穴住居の検討

大膳野南貝塚後期集落の出土物による竪穴住居検討 11

竪穴住居から石器が多出する竪穴住居の特性について観察します。

1 石器多出竪穴住居
出土石器数順位グラフを漆喰貝層有竪穴住居と漆喰貝層無竪穴住居別に作成して並べてみました。

出土石器数順位グラフ
この順位グラフで出土石器数18以上の竪穴住居8軒について検討することにします。

なお、中テン箱数、獣骨数に関する同様の順位グラフを再掲します。

参考 中テン箱数順位グラフ

参考 獣骨数順位グラフ

石器数と中テン箱数と獣骨数の間には強い相関関係があり、それらの直上位の竪穴住居はある程度絞られてきています。

2 石器多出竪穴住居の検討
石器多出竪穴住居について中テン箱数、獣骨数、廃屋墓、人骨出土(発掘調査報告書で廃屋墓としてカウントされていないもの)、時期を一覧表でまとめ、これらの情報から当該竪穴住居に関連する人物を推測して記入してみました。

石器出土が多い竪穴住居の検討

大膳野南貝塚後期集落が貝塚形成集落であった3時期の集落リーダーに関わる竪穴住居を石器出土数から突き止めたことになります。
また貝塚形成集落が終焉したあとの時期の集落リーダーに関わる竪穴住居も突き止めたと考えます。

これらの石器多出竪穴住居の所在を時期別地図にプロットすると次のようになります。

称名寺式期前後期石器多出竪穴住居
(貝塚形成集落)

堀之内1式期石器多出竪穴住居
(貝塚形成集落)

堀之内2式期石器多出竪穴住居
(貝塚形成集落)

堀之内2式期~加曽利B1式期石器多出竪穴住居
(貝塚は形成していない)

3 感想
想像を重ねているとはいえ、データから時期別に集落リーダー格人物の竪穴住居を推察することができました。
有力家族(リーダー格家族)という点でみると南貝層に2家族が、北貝層に1家族がそれぞれ集落の最初期と急成長期(堀之内1式期)にテリトリーを有していたことが読み取れます。
貝塚形成集落の終焉期(堀之内2式期)には南貝層に1家族だけとなります。
東京湾漁撈と関わらなくなった時期(堀之内2式期~加曽利B1式期)には有力家族が南貝層と北貝層の間の非貝層空間にテリトリーを有していました。

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