2018年4月18日水曜日

土坑用途の推定作業

大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 26

個々土坑の用途推定作業を進めていますので現状をメモしておきます。

1 断面形状が似ているもののグループをつくる
土坑断面図そのものを対象としてkj法で断面形状が似ているもののグループをつくりました。それらのグループのなかに同じ用途のものが含まれている可能性が高いと考えるからです。

kj法による断面形状が似ているグループ分け

2 データベースをツールとした土坑用途推定作業
発掘調査報告書の文章記述、土層記述付平面断面図、出土物画像をそのまま掲載するとともに、その内容の要約やこれまでの諸検討結果、用途推定記入メモ欄等45項目(フィールド)をモニター1画面に配置しました。
画像以外の項目を使って検索やソートが迅速にできますから、ある土坑の用途推定の思考がまとまれば、それに似た土坑をkj法グループ分けで、また別の多様な視点から見つけ出して類推を広げていくことができます。

なお、土坑用途は一次用途と二次用途に分けて考えることにします。
一次用途とはその土坑を最初に掘った時の本来用途です。
二次用途とは土坑が本来用途の使命を終えて廃絶した後に生まれる第二の用途です。現段階作業では二次用途として祭祀の場(送り場)、墓(廃土坑墓)の2つを念頭においています。

土坑用途推定に現状で役立っている項目は次のようなものをあげられます。
●断面形仮タイプ(kj法による分類)
●覆土層の要約と諸元(土層、破砕貝、完形貝、純貝層、漆喰、底まで貝層、焼土、炭化物等)
●出土物の要約と諸元(出土物なし、土器少量、土器多量、完形土器・大型破片、石器、骨角器、貝製品、獣骨、人骨)
●トイレ予察
●体積区分、深さ
●発掘調査報告書の情報(周辺小ピット、土坑墓可能性、炭化種子同定結果)

次にいくつかの例をあげます。

貯蔵庫(二次用途 送り場)と推定した例 100号土坑
この土坑は土層中の炭化物サンプル調査が行われオニグルミ核などが見つかっています。

貯蔵庫(二次用途 廃土坑墓、送り場)と推定した例 382号土坑
この土坑からはヒト骨が出土しています。
この土坑以外の別の1土坑からもヒト骨が出土しています。

土坑墓と推定した例 181号土坑
発掘調査報告書で土坑墓である可能性を記述しています。この記述を参考に一次用途が墓(土坑墓)であると推定しました。

屋根付特殊用途と推定した例 263号土坑
屋外漆喰炉の近くに立地していることから、魚介類干し物仮置き場のような施設ではないだろうかと想像しています。

トイレと推定した例 320号土坑
kj法検討でトイレと推定したものです。

柱状施設設置跡と推定した例 10号土坑

上記以外に一次用途としての送り場が沢山あると考えられ、現在分類作業中です。

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