2018年4月30日月曜日

貯蔵土坑の二次利用 廃土坑墓・送り場・巨大柱穴

大膳野南貝塚後期集落 土坑の再検討 33

大型貯蔵土坑を中心に土坑の二次利用について検討します。

1大型貯蔵土坑の二次利用
これまでの検討図に二次利用の様子を書き込んでみました。

概算容量2㎥以上の土坑

概算容量1㎥以上2㎥未満(タンブラー状)の土坑

概算容量1㎥以上2㎥未満(鍋状)の土坑

貝層・獣骨・焼土・石器などが出土する土坑とそれらの出土がない土坑の区別が明瞭であることからそれらが出土する貯蔵土坑の二次利用は送り場であると特定しました。
人骨が出土する土坑は廃土坑墓と考えました。
大型土坑の二次利用は廃土坑墓と送り場以外は見つかりませんでした。
概算容量2㎥以上貯蔵土坑6基のうち廃土坑墓・送り場1基、送り場3基、二次利用なし2基となりました。
382号土坑は廃土坑墓としてまた送り場として二次利用されたと考えました。2018.03.27記事「フラスコ形土坑からヒト骨が出土した意義」参照

概算容量1㎥以上2㎥未満の土坑のうちタンブラー状土坑には二次利用の跡が見られるものがありません。恐らく開口部が狭くかつ底が深いので、大型貯蔵土坑に対応する住民人数(2家族以上?)の送り場とするには不適切な形状であったのだと想像します。2家族以上の人々が開口部を囲んでモノ(お供えモノ、送るモノ)を投げ込む儀式をするにしては手狭であったのだと想像します。
同じ概算容量の鍋状土坑は11基のうち6基が送り場として二次利用されています。鍋状の土坑は平面積が広く円周が長いので、2家族以上の人々が集まるには好都合の空間が出来ていて、また投げ込むモノも良く見えて祭祀のしがいがあったのだと考えます。

貯蔵土坑は利用しているうちに湿気で貯蔵食物が腐ったり、カビが生えたりして不衛生となり、それに対して緩衝材の入れ替えや内部焼却等のリニューアル策を何度も構じたのだと想像しますが、結局それ以上使えない衛生上の限界があり最後は廃絶したのだと考えます。
廃絶した貯蔵土坑のうち廃土坑墓や送り場として二次利用する条件のあるものはそれらの利用をしたと考えます。
竪穴住居が廃絶すると廃屋墓や送り場として二次利用される様子と貯蔵土坑の二次利用はよく似ている事象であると考えます。

2 全貯蔵土坑63基の二次利用
大型貯蔵土坑を含む全貯蔵土坑の二次利用は次のようになります。

全貯蔵土坑の二次利用
二次利用あるものは24基で全体の38%になります。内訳は廃土坑墓・送り場1基、送り場22基、巨大柱穴1基となります。
巨大柱穴は次の397号土坑で南貝層近くにあります。

397号土坑断面
トーテムポールのような柱を立てたものだと空想したくなります。直径30~40cm程度の柱に対応する土層になっていて、基部が固くなっています。



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