2024年4月24日水曜日

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)観察記録3Dモデル(2024年2月撮影版)

 Observation record 3D model of deep bowl with face handle (Ina City,Tsukimimatsu site) (Photographed in February 2024)


I created a 3D model of the deep bowl with a face handle (Ina City,Tsukimimatsu site) displayed at the Ina City Souzou-kan. It was slightly improved over the 2021 model. I will enjoy learning and see if new ideas will come from observing new models.


伊那市創造館に展示されている顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)の3Dモデルを作成しました。2021年モデルより少しだけ改良できました。新モデル観察で新しい発想が生まれるか、学習を楽しむことにします。

1 顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)観察記録3Dモデル(2024年2月撮影版)

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡)観察記録3Dモデル(2024年2月撮影版)

縄文時代中期中葉

撮影場所:伊那市創造館常設展示室

撮影月日:2024.02.21


展示の様子

ガラス面越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 249 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ

この土器は2021年11月に最初の3Dモデルを作成しています。

顔面把手付大深鉢(伊那市月見松遺跡) 観察記録3Dモデル Deep bowl

今回撮影によるモデルは2021年最初モデルよりわずかに良いモデルとなりました。しかし、ガラス面反射が激しく、これ以上の改良は望めないことを悟りました。

この土器に関する検討は過去に多数の記事にしています。その過去記事を読み直して、果たして新たな発想が生まれるか、新モデルを観察しながら、学習を深め楽しむことにします。


干渉色仮面土偶3Dモデル

 Interference color mask clay figurine 3D model


It is very interesting to play with painting the clay figurine 3D model in interference colors. This clay figure is all the more interesting because it is a mask.


土偶3Dモデルを干渉色に塗る遊びはとても面白いです。この土偶は仮面ですから、なおさら面白いです。

1 干渉色仮面土偶3Dモデル

干渉色仮面土偶3Dモデル

元モデル:仮面土偶頭部(伊那市百駄刈遺跡)観察記録3Dモデル

地図アート研究所開発「干渉色変換ツール」で干渉色テクスチャ画像を生成


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 干渉色仮面土偶3Dモデル作成方法メモ

2-1 元モデルのWabefront(.obj)ファイルを作成する。(テクスチャ画像は不用)

【Blender作業】

2-2 Wabefront(.obj)ファイルをBlenderにインポートする。


テクスチャ画像なしのオブジェクト

2-3 オブジェクトの顔面を水平にして、高さ方向で、ノード「カラーランプ」を使って黒-白のグラデーションで色を塗る。


黒-白グラデーションカラーのオブジェクト

2-4 オブジェクトをUV展開してから、テクスチャ(デフューズ色)をベイクし、ファイル出力する。


ファイル出力されたテクスチャ

2-5 ベイクしたテクスチャファイルをリンクしたオブジェクトをWabefront(.obj)でエクスポートする。

【干渉色変換ツール作業】

2-6 Wabefront(.obj)ファイルのテクスチャ画像を干渉色変換ツールで干渉色に変換する。


干渉色テクスチャ画像 例1


干渉色テクスチャ画像 例2


干渉色テクスチャ画像 例3


干渉色テクスチャ画像 例4

3 感想

土偶3Dモデルを干渉色に塗る遊びはとても面白いです。この土偶は仮面ですから、なおさら面白いです。

干渉色変換ツールを開発された地図アート研究所やまだこーじさんに感謝します。

4 参考 干渉色変換ツール画面の様子


干渉色変換ツール画面の様子


2024年4月23日火曜日

仮面土偶頭部(伊那市百駄刈遺跡)観察記録3Dモデル

 Masked clay figurine head (Ina City,Hyakudangari site) observation record 3D model


It's an impactful mask. Is it because the round mouth imitates a mask that utters a story? The ears are depicted behind the eyes, and I interpret them to be the ears of a masked sorcerer.


インパクトのある仮面です。丸い口は物語を発声する仮面を模しているからでしょうか。耳は目の後ろに表現されていて、仮面を付けた呪術者の耳であると解釈します。

1 仮面土偶頭部(伊那市百駄刈遺跡)観察記録3Dモデル

仮面土偶頭部(伊那市百駄刈遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代後期

撮影場所:伊那市創造館常設展示室

撮影月日:2024.02.21


展示の様子

ガラスケース越し撮影

3DF Zephyr v7.517 processing 147 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 感想

インパクトのある仮面です。鼻から眉につづく隆起は縄文人の特徴のようです。丸い口は物語を演じる(発声する)ための仮面を模しているからでしょうか。耳は目の後ろに表現されていますが、この耳は仮面を付けた呪術者の耳であると解釈します。頭頂に孔がありますから、この土偶が使われたとき、髪飾りなどをイメージした何かを挿したのでしょうか。


2024年4月22日月曜日

展示土偶のパラパラ動画作成を楽しむ

 Enjoy creating flip videos of the clay figurine on display


I enjoyed the different colors of the exhibited clay figurine photos and created flip videos.


展示土偶写真のフィルター別色合いを楽しんだり、パラパラ動画作成を楽しみました。

1 展示土偶写真のフィルター別色合い


フィルター ナチュラル

カメラの撮影フィルター機能


フィルター ポップアート

カメラの撮影フィルター機能


フィルター ポップアートⅡ

カメラの撮影フィルター機能


フィルター モノクロ

カメラの撮影フィルター機能


フィルター ドラマチックトーン

カメラの撮影フィルター機能


フィルター リーニュクレール

カメラの撮影フィルター機能


フィルター 輪郭検出

Photoshopフィルター機能(表現手法)


フィルター 輪郭検出+ポップアート

Photoshopオーバーレイ機能(乗算)


フィルター 干渉色

地図アート研究所開発干渉色変換ツール機能

2 パラパラ動画


フィルタードラマチックトーン写真によるパラパラ動画


フィルターポップアート写真によるパラパラ動画

3 参考  展示土偶関連記事

2024.02.22記事「ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル


ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル

 Clay figurine in a glass case (Iida City,Daimyojinbara site) observation record 3D model


I enjoyed creating a 3D model of a clay figurine in a glass case (Iida City,Daimyojinbaru site) exhibited at the Iida City Archaeological Museum. I also tried to express the glass case in the 3D model.


飯田市考古博物館に展示されているガラスケース入り土偶(飯田市大明神原遺跡)の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。3Dモデルはガラスケースも表現してみました。

1 ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル

ガラスケース入り 土偶(飯田市大明神原遺跡)観察記録3Dモデル

撮影場所:飯田市考古博物館常設展示

撮影月日:2024.03.24


展示の様子

3DF Zephyr v7.517 processing 114 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 5面図


5面図

GigaMesh Software Frameworkで作成

3 感想

土偶製作者が立体的に強調しようとした部位は出っ張った尻と乳房、正中線であると感じました。頭部は後がえぐられていて、顔は確かに立体ですが、お面としてつくられていると感じました。

3Dモデルはガラスケースも表現しました。ガラスケースや土偶添具を削除すると貧相な3Dモデルになってしまいます。


2024年4月21日日曜日

手書き遺物分布図画像から座標計測する方法

 How to measure coordinates from a handwritten artifact distribution map image


As the future of digitizing antiquities registers has become brighter, I have considered a method for measuring planar coordinates from images of handwritten artifact distribution map image. By effectively using BlenderPython, measurements can be performed comfortably. However, measuring 63,000 relics requires considerable labor.


遺物台帳電子化の先行きが明るくなりましたので、手書き遺物分布図画像から平面座標を計測する方法を検討しました。BlenderPythonを効果的に使うことにより、快適操作で計測できます。ただ63000遺物計測はかなりの力仕事になります。

1 手書き遺物分布図画像から座標計測する方法

1-1 事例グリッド(Ⅱ-58)の場所


事例グリッド(Ⅱ-58)の場所

1-2 手書き遺物分布図画像のグリッド別切り抜き


手書き遺物分布図スキャン画像(Ⅱ-48及びⅡ-58グリッド)

手書き遺物分布図スキャン画像の傾きを補正して正立させ、グリッド単位で正確に切り抜きます。(Photoshop作業)


グリッド切り抜き画像(Ⅱ-58グリッドの例)


拡大図

1-3 グリッド切り抜き画像のBlenderプロットとグリッド位置正置

グリッド切り抜き画像を「画像を平面で」でBlenderにインポートし、寸法をX:2m、Y:2mに変更し、X軸とY軸が合うように回転させ(この場合Z:90°)ます。

画像を選択した状態で、オブジェト→原点を設定→原点を3Dカーソルへ移動をクリックして、画像の中央に原点を設定します。

画像位置を当該グリッドに移動します。(Ⅱ-58グリッドの場合、Ⅹ:11m、Y:27m)

1-4 CUBEを生成し遺物番号位置に配置する

「カーソル位置にCUBEを生成するBlenderPythonスクリプト」をテキストエディターに読み込みます。

カーソル位置にCUBEを生成するBlenderPythonスクリプト(ChatGPT支援により作成)

import bpy # カーソルの位置を取得 cursor_location = bpy.context.scene.cursor.location # 新しい立方体を作成 bpy.ops.mesh.primitive_cube_add(size=0.01, location=cursor_location) # 作成した立方体を選択 new_cube = bpy.context.active_object # マテリアルを作成 material = bpy.data.materials.new(name="Red") material.diffuse_color = (1.0, 0.0, 0.0, 1.0) # 赤色 # 立方体にマテリアルを適用 if new_cube.data.materials: # マテリアルが既に存在する場合、最初のスロットに新しいマテリアルを挿入 new_cube.data.materials[0] = material else: # マテリアルが存在しない場合、新しいマテリアルを追加 new_cube.data.materials.append(material)

ギズモのZをクリックして上から画像を見下ろします(上からオルソ投影にします)。

遺物位置にカーソルを移動し、テキストエディターのスクリプト実行ボタン(黒い三角)をクリックします。遺物位置にCUBE(赤い0.01m×0.01m×0.01mのCUBE)が生成しますので、アウトライナーの当該CUBE欄で名称を当該遺物番号に変更します。

同様に、遺物毎にカーソル位置変更→スクリプト実行→名称変更を繰り返します。


幾つかの遺物位置に赤CUBEを生成した様子(オルソ投影)


斜め表示

1-4 CUBEの名称と座標をファイル出力する

「CUBEの名称と座標をファイル出力するBlenderPythonスクリプト」をテキストエディターに読み込みます。

CUBEの名称と座標をファイル出力するBlenderPythonスクリプト(ChatGPT支援により作成)

import bpy

# 出力ファイルのパス
output_file = "E:/test/text.txt"

# 選択されたオブジェクトを取得
selected_objects = bpy.context.selected_objects

# 出力用のテキストを準備
output_text = ""

# オブジェクトごとに名前と座標を取得してテキストに追加
for obj in selected_objects:
    name = obj.name
    location = obj.location
    x, y, z = location
    output_text += f"{name},{x},{y},{z}\n"

# テキストファイルに書き込み
with open(output_file, 'w') as file:
    file.write(output_text)

print(f"Output written to {output_file}")

全てのCUBEを選択し、スクリプト実行ボタンをクリックします。遺物番号とⅩ座標、Y座標がファイル出力されます。(スクリプトは汎用性をもたせるためにここではZ座標も一緒に出力していますが、Z座標は不用です。)


ファイル出力した様子

参考 aaaはグリッド左上頂点のデータ、bbbはグリッド右下頂点のデータです。

今後、スクリプトを調整して桁数を実用レベルに(見やすく)するために減じる予定です。

2 遺物の3D座標

1の方法で取得したⅩ座標、Y座標データと遺物台帳から取得したZ座標データを遺物毎に合わせると遺物の3D座標となります。遺物毎に2つのデータを合わせる作業はPythonスクリプトで行います。

3 感想

遺物分布図から遺物平面座標を求める具体的で確かな方法を構築できました。作業したBlenderファイルを保存しておくことで、どの遺物の座標を読み取ったのかという状況が後からチェックできます。作業操作感も自分は快適に感じるのでとても実用的であると考えます。あとは63000件を力仕事として処理するだけです。

遺物台帳入力完遂のメドがたってきましたので、試行的に特定グリッドの遺物分布図から座標を読み取り、遺物台帳座標とあわせて、遺物3D分布モデルを作成してみることにします。


2024年4月20日土曜日

埋甕(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル

 Buried jar (Iida City,Hirahata site) observation record 3D model


I enjoyed creating a 3D model of the buried jar (Iida City,Hirahata site) displayed at the Iida City Archaeological Museum. This is a large pottery with a height of 70cm. The photo published in the excavation report, which was excavated in an inverted position, is impressive. Are the subtle differences in the repeating patterns intentional?


飯田市考古博物館に展示されている埋甕(飯田市平畑遺跡)の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。器高70㎝の大型土器です。逆位で出土した発掘調査報告書掲載写真が印象的です。繰り返し文様の微妙な差異は意図したものでしょうか?

1 埋甕(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル

埋甕(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代中期後葉

高さ:70㎝

撮影場所:飯田市考古博物館常設展示

撮影月日:2024.03.24


展示の様子

3DF Zephyr v7.517 processing 273 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 メモ


実測図

発掘調査報告書※から引用


出土状況

発掘調査報告書※から引用

※ 「平畑遺跡八幡原遺跡 -農村基盤総合整備事業上黒田東部地区に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書-」(1988.3、長野県下伊那郡上郷町役場産業課 長野県下伊那郡上郷町教育委員会)

この埋甕は逆位で出土しています。また、2024.04.18記事「台付土器(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル」で紹介した台付土器と同じ竪穴住居覆土から出土しています。

この土器の正面と考えられる面が展示では壁側に位置し、観察することができません。

発掘調査報告書では口縁部に存在していた6個のやや退化傾向の角状突起が発掘運搬作業中に削り取られたとのことです。

発掘調査報告書ではこの土器は諏訪地方の曽利Ⅰ式土器に比定されると記述されています。



2024年4月19日金曜日

38年前遺物台帳の手入力電子化作業を楽しむ

 Enjoying the manual input and computerization of a 38-year-old relic ledger


I have become more and more passionate about learning about the shell formations on the north slope of the Ariyoshi Kita Shell Mound, which I have been interested in for several years, and I am enjoying manually inputting and digitizing the original artifact register (63,000 artifacts). I completed 40,000 entries in 4 months. Many useful impressions have been generated with the aim of creating a detailed 3D model of artifact distribution.


数年前から興味を深めている有吉北貝塚北斜面貝層学習の熱中度が高まり、こともあろうに、遺物台帳原本(遺物数63000件)の手入力電子化作業を楽しんでいます。4ヵ月で40000件の入力が済みました。精細な遺物分布3Dモデル作成を目指して、多数の有用な感想が生まれています。

1 電子化作業進捗状況


遺物台帳電子化済区域(2024.04.19)


遺物台帳電子化割合 2024.04.19

63000件のうち40000件の電子化が済みました。

2 電子化作業の様子


遺物台帳作業の様子

作業は毎週3000件入力することとし、月、火、水の3日で各1000件入力しています。当初は1000件入力するのに早朝から夜遅くまでかかりました。その後手入力作業が効率化し、半日作業で済むようになりました。

標高の数値入力が最もつらく根気のいる作業です。これを右手テンキー、左手マウスで行っています。右手のテンキーブラインドタッチ入力が高速化し、日ごとに作業が効率的になっています。

3 遺物分布3Dモデル


遺物分布3Dモデルのイメージ

遺物台帳と遺物分布図を電子化することにより、上図のような遺物分布3Dモデルを作成して、北斜面貝層を見える化するための分析表現を行います。

4 感想

4-1 発掘活動の紙上疑似体験

発掘台帳原票(画像)を見てExcelに入力する活動の中で、発掘現場で発掘活動の体験をしているような疑似感覚が生まれています。不思議な感覚を楽しんでいます。次のような発掘原票の状況や記載を見ている内に、この疑似体験感覚が生まれました。

(1)遺物台帳の汚れ

遺物台帳にほこりや泥がついていたり、血痕(手の傷か)がついていたりして、現場臨場感があります。

(2)頻発する間違い訂正

間違いを訂正した箇所がかなりあります。この訂正の様子から、多数遺物に正確情報を確実に紐づける作業に苦労している様子が垣間見えます。次から次へと生まれる膨大情報の処理に苦労しています。

(3)層相区分との紐づけに苦労

特に層相区分とその情報を遺物現物に紐づける作業に苦労しているようです。遺物台帳をインクで記載した後、層相区分情報だけは鉛筆で追記記載しています。当該遺物がどの層相から出土したかという情報は、発掘現場で一義的に決まるのではなく、ある作業まとまりの後で、全体を俯瞰して決めざるを得ないという事情が垣間見えます。

(4)発掘者の個性

発掘者によって遺物表現の言葉や遺物選択の様子が微妙に異なり、発掘担当者個性の違いが垣間見えます。

(5)間違い、ミスの存在

勘違いや暗算ミスに起因する間違が一定の割合で存在します。その間違いの様子や頻度は自分が同じようなことをしたときに生まれるミスと似ています。つまり、発掘担当者は特段に知的能力が高い人ではなく、普通の知的レベルの人が携わっていることがわかります。へたくそな字や読みにくい字も多く、自分の手書き文字に通じます。

(6)現場で判らないことがある

発掘者が現場でその遺物が何であるか即座に判定できないものが一定の割合であります。?マークとかメモがつきます。(→この情報は発掘調査報告書で後に確認する必要があります。)

4-2 遺物台帳記載から気が付いた事柄

(1)同一種遺物が連続して出土する傾向が顕著

土器、土錘、貝刃、黒曜石・・・などの遺物種別の出土は遺物台帳記載で連続して、かつその連続が間欠的に見られます。これらの遺物の投棄場所とか、投棄時期が集中的かつ間欠的であったことが偲ばれます。同時に、大きさや比重などが類似したモノが貝層移動の中で選択的に集まったという事情も考慮する必要が生まれます。

(2)土器片の明瞭な集中出土域の存在

土器片は特段に集中的に出土する層相が存在するようです。その意義について興味が深まります。

(3)骨だけが出土する域の存在

骨だけが出土し、それ以外の遺物がほとんど出土しない域が存在します。貝殻と骨だけ(つまり食料残滓だけ)を投棄して、それ以外の土器や道具を意識して投棄しなかった域(時期)があるのか、それとも、貝層移動のなかで、ソートされて、そのような見かけの貝層が成立したのか、興味が深まります。

(4)層相区分点群3Dモデル作成の可能性

全遺物に3D座標と層相区分情報が紐づいています。つまり遺物の層相区分情報だけを3D空間にプロットすれば、それがすなわち層相区分点群3Dモデルになるということを理解しました。

(5)土器の分類

土器は土器片、土器片(口縁)、土器片(底部)、朱塗土器という4大区分でほぼ統一されています。土器遺物総数の中に占める朱塗土器の割合を調べれば、意味のある情報になると考えます。

4-3 遺物台帳入力作業中の次ステップに向けた活動イメージ

当初、遺物台帳入力(遺物のz座標取得)が済んだら、次は遺物分布図作業(遺物のx,y座標取得)を考えています。そのため、遺物分布図から効果的に遺物のx,y座標取得する方法の開発が現段階で求められていると考えます。

また、次のような予備作業も同時に行うことが大切であると考えます。

貝層断面図のリストとその分布図作成

地山分布図のリストとその分布図作成、概要図作成


2024年4月18日木曜日

台付土器(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル

 Pottery with stand (Iida City,Hirahata site) Observation record 3D model


I enjoyed creating a 3D model of pottery with stand (Iida City,Hirahata site) displayed at the Iida City Archaeological Museum. It is valuable as a nearly complete piece of pottery with stand. I understand that pottery with stand is a container for offering offerings to an altar.


飯田市考古博物館に展示されている台付土器(飯田市平畑遺跡)の観察記録3Dモデル作成を楽しみました。ほぼ完形の台付土器として貴重なものです。台付土器とは祭壇にお供えモノを捧げる容器であると理解します。

1 台付土器(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル

台付土器(飯田市平畑遺跡)観察記録3Dモデル

縄文時代中期後葉

高さ:20㎝

撮影場所:飯田市考古博物館常設展示

撮影月日:2024.03.24


展示の様子

3DF Zephyr v7.517 processing 118 images


3Dモデルの画像


3Dモデルの動画

2 GigaMesh Software Frameworkによる展開


GigaMesh Software Frameworkによる展開

3 実測図


実測図

発掘調査報告書※から引用

※ 「平畑遺跡八幡原遺跡 -農村基盤総合整備事業上黒田東部地区に伴う埋蔵文化財発掘調査報告書-」(1988.3、長野県下伊那郡上郷町役場産業課 長野県下伊那郡上郷町教育委員会)

「ほぼ完形の台付土器として貴重」(飯田市考古博物館ホームページより)です。

4 感想

台付土器とは祭壇にお供えモノを捧げる容器ということだと理解しておきます。