2017年7月13日木曜日

西根遺跡の土器の壊れ方観察2

西根遺跡出土縄文時代土器(加曽利B式土器)の壊れ方観察を2017.07.12記事「西根遺跡の土器壊れ方観察」に引き続き行います。
この記事では特大土器を観察します。

1 第122図361番土器
・第4集中地点
・深鉢E2
・口径37.0㎝、底径11.3㎝、器高62.5㎝、容量36.9l
・残存度80%
・被熱

第122図361番土器外観1
千葉県教育委員会所蔵

第122図361番土器外観2
千葉県教育委員会所蔵

●観察結果
残存度80%にもかかわらず、破片は小さく土器の姿を想起させるほどの大判破片は存在しません。
完形姿に近い機能喪失土器を苦労して持ち込み、出土場所で人為的に壊したものと考えられます。

2 第133図437番土器
・第4集中地点
・壺A3
・口径35.7㎝、底径8.8㎝、器高74.1㎝、重量12.2㎏、容量69.7l
・残存度90%
・被熱、底面外面下端が摩滅

第133図437番土器外観1
千葉県教育委員会所蔵

第133図437番土器外観2
千葉県教育委員会所蔵

●観察結果
残存度90%にもかかわらず、破片は小さいものが多く土器の姿を想起させるほどの大判破片は存在しません。
完形姿に近い機能喪失土器を苦労して持ち込み、出土場所で人為的に壊したものと考えられます。

3 第144図491番土器
・第4集中地点
・深鉢B2a
・口径38.0㎝、底径9.1㎝、器高54.0㎝、容量35.3l
・残存度50%
・被熱

第144図491番土器外観1
千葉県教育委員会所蔵

第144図491番土器外観2
千葉県教育委員会所蔵

●観察結果
残存度50%。破片は小さいものが多く土器の姿を想起させるほどの大判破片は存在しません。
完形姿に近い機能喪失土器を苦労して持ち込み、出土場所で人為的に壊したものと考えられます。

4 考察
3つの土器ともに土器の完形姿を残すような大型片はなく、破片の集合から元の形を想起することが困難です。

このように、完形姿に近い土器を出土場所で徹底的に壊した理由は土器が何らかの機能を残して再利用される可能性を完全に排除する意思が働いたからだと考えられます。

土器の残片の中にカーブした部分や輪や凹んだ部分が残れば、モノを入れたり、モノを覆ったりする機能が残ってしまいます。リサイクル品としての機能が残ってしまいます。
それでは土器を完全に送ることができないという心理が働いたのだと思います。

土器を完全に送るため、自分の心と齟齬が生れない丁寧な送りをするために、土器を徹底して壊したのだと考えます。


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