2017年10月28日土曜日

八千代市白幡前遺跡の大寺の名称は勝光寺

2017.10.27記事「印西市大塚前廃寺の名称は播寺(波田寺)」に関連して、八千代市白幡前遺跡の瓦塔出土周溝付寺院遺構の名称が勝光寺であることをメモしておきます。

白幡前遺跡から「大寺」の墨書文字が出土しているので「大寺」が寺院遺構の名称であると一般に書かれていますが、「大寺」は愛称、通称、あるいは尊称であって、寺院名称は同じ萱田遺跡群の北海道遺跡から出土した墨書文字「勝光寺」であると考えられます。

白幡前遺跡を含む萱田遺跡群を対象に「寺」を含む墨書文字を検索すると次のようになります。

萱田遺跡群の墨書文字「寺」

白幡前遺跡寺院遺構の影響圏と考えられる範囲に「大寺」と「勝光寺」がセットで出土しています。
白幡前遺跡の寺院遺構と北海道遺跡の墨書文字「勝光寺」との直線距離は700mです。

発掘区域の設定や遺跡名称は現代発掘行政のご都合であり、古代社会の事情とまったく無関係ですから、近在に他の寺院遺構がないので、白幡前遺跡寺院遺構の名称が「勝光寺」であると特定できます。
「大寺」は愛称、通称、尊称であると考えます。

「大寺」が寺院の愛称、通称、尊称であると推定することの正しさは、次のように、千葉県における墨書文字「大寺」出土遺跡全てで正式名称と考えられる墨書文字が出土していることから確かめることができます。

千葉県全遺跡における墨書文字「大寺」

千葉県から墨書文字「大寺」は白幡前遺跡、加良部(LOC15)遺跡、真行寺廃寺の3遺跡から出土しています。

加良部(LOC15)遺跡からも「大寺」と寺院名称「忍保寺」が出土しています。

加良部(LOC15)遺跡における墨書文字「寺」

真行寺廃寺からも「大寺」と寺院名称「武射寺」が出土しています。

真行寺廃寺における墨書文字「寺」

これらの情報から「大寺」は愛称、通称、尊称であることと、「大寺」と呼ばれるほどの立派な寺ですから正式名称もそれぞれ墨書文字で残ったといえます。

白幡前遺跡の尊称大寺の正式名称は「勝光寺」といえます。

白幡前遺跡大寺の名称は勝光寺

これまでの考察にこの考察を加えて、2つの諸国牧に鎮護国家の観点から付属すると考えられる寺院の名称を整理することができました。

萱田遺跡群…高津馬牧(延喜式諸国牧)…勝光寺
鳴神山遺跡・大塚前遺跡等…大結馬牧(延喜式諸国牧)…播寺(波田寺)


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参考 墨書文字「大寺」出土遺跡

参考 白幡前遺跡、加良部(LOC15)遺跡、真行寺廃寺の位置

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